日々の食事で「うま味」を味わっていますか?
子どもの頃からうま味に親しむことで、素材本来のおいしさを知り、確かな味覚を育てることにつながります。
今回は、家庭で手軽にできる水出しレシピと親子で楽しく取り組みたい「うま味の味比べ」の方法をご紹介します。
うま味とは?
味には「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」『うま味』の5つの基本味(きほんみ)があります。
漢字で表現される「旨味」や「おいしさ」は五感全体で感じますが、うま味は舌で感じる、”味”の1つです。
うま味を味わえる代表的な調味料は、味噌汁や煮物で使われている食材を煮出した“だし”。
近年、海外からも注目され、「UMAMI」として世界共通語になっています。
うま味成分とその食材例
代表的なうま味成分と豊富に含まれる食材には、次のようなものがあります。
- グルタミン酸……こんぶ、いわし、パルメザンチーズ、トマト、白菜など
- イノシン酸……かつお節、煮干し、さば、たい、豚肉など
- グアニル酸……干ししいたけなどの乾燥きのこ類
- コハク酸……ほたて、あさり、しじみ等の貝類
- アスパラギン酸……豆類など
うま味は組み合わせることで深まる
うま味成分をいくつか組み合わせることで、より強くうま味を感じるようになります。
日本の”だし”はその例で、代表的な組み合わせはこんぶ(グルタミン酸)+かつお節(イノシン酸)です。
【食育】うま味の味比べ~だしの味を味わってみよう!~
幼児期のうちに「うま味」を感じる経験を積んでおくことは、味覚の成長につながります。また、だし味を主体とした味付けに慣れ親しんでおくことは、脂肪を多く含む料理と比べて低いエネルギーで満足感を得ることができるため、健康維持の視点でも大いに役立ちます。
子どもが楽しくうま味を学ぶコツ
うま味にはいくつもの種類がありますから、1つひとつ異なる味を”感じる”経験をさせてあげましょう。
味だけでなく、色や香りの違いに着目するのもいいですね。
どんな味がするか発見・伝え合いながらあそび感覚で取り組みましょう。
次のような手順で取り組みましょう。
- だしを数種類つくり、1種類ずつなめて色や味、香りを感じる
- 昆布だし+かつおだし、煮干しだし+しいたけだしなど2~4種類組み合わせて味見し、相乗効果により、うま味が増すことを知る
好きな組み合わせが見つかったら、汁物・煮物・お浸しなどに使用して日常的に楽しんでくださいね。
「だしをとるのは大変……」
そんなときは、水につけておくだけで作る水出しの“だし”がおすすめです。
今回は、和食でよく使われる昆布、かつお節、煮干し,干ししいたけを使った水出しレシピをご紹介します。
水出し”だし”レシピ
水出し”だし”は、材料を水につけるだけ。
完成しただしは、冷蔵庫保存で3日間、冷凍庫保存で2週間以内に使い切りましょう。
味わってみて、お好みの濃さに分量を加減してもOKです。
まずは保護者が味見をし、子どもに味わわせる際は水で薄めて様子をみながら、少しずつ慣らすといいでしょう。
【材料】
〇昆布だし
- 昆布……5g
- 水……300cc
〇かつおだし
- かつお節……2.5g
- 水……300cc
〇煮干し(いりこ)だし
- 煮干し……20g
- 水……300cc
※煮干しはそのまま使用してもよいですが、頭と腹わたを取るとクセがなくすっきりとした味わいになります。その後、半分にさくことでうま味もより出やすくなります。
〇しいたけだし
- 干ししいたけ……2g
- 水……300cc
【作り方】
- 全て蓋のある容器に以下の食材を入れ、冷蔵庫で一晩(8時間以上)つける
- 容器からそれぞれの食材を取り出す
子どもがだしを味わってイマイチな場合…
子どもがだしを味わって「この味、好きじゃない……」となっても大丈夫です。
子どもの時期はうま味をあまり好まない傾向がありますが、まずはうま味を経験させてあげることが大切です。
なかなか気が向かない場合は薄めのものから試し、少しずつ慣れていきましょう。
だしそのものの味を受け入れ味噌汁や煮物などに子どもの好きな食材や味付けにし、薄い濃度のだしから料理に使用してみてください。
お母さんは子どもと一緒に味比べを楽しみましょう!
だしをじっくり味わうことで、味覚を育むだけでなく早食いや濃い味ばかりの偏食、食への無関心などを防ぐことにもつながります。
まずはお母さんが楽しむことで、子どもの興味も引き立てられますよ。
「このだしの組み合わせはお吸いものがいいかな? こっちの組み合わせは煮物がいいかな?」などと、あれこれ想像するのも楽しいですね。
子どもがうま味を知り好きになるきっかけとして、取り組んでみてください。
管理栄養士として離乳食・幼児食・アレルギー食の調理、子どもに向けたクッキング等食育活動(0~5歳)、献立作成の経験あり。事業所内保育所、小学生・中学生夏季施設、社員食堂、レストランでの勤務経験をもつ。食べることが好きで、食べ物と体の関係について興味があり管理栄養士となる。自身も子育てをしている今、子どもの頃からの食習慣は大切と痛感。