スクールFCの人気国語教師 平沼純による連続読書講座。2021年度の最終回は、「子どもの本の未来 ~『これまで』と『これから』~」というテーマでお送りしました。
最近の3つのトピックより
まずは、1月の講座のあとに起きた印象的な出来事から、3つをご紹介しました。
一つは、2021年度の中学入試・高校入試について。スクールFCでは、毎年子どもたちが自分と仲間に向けてメッセージを書き、それぞれの「合格祈願お守り」に封入しています。そのなかに、「進め!進め!」という言葉を書いた子がいました。それは授業の中で平沼が紹介した、武者小路実篤の言葉。「後悔なんかしていられない したいことが多すぎる 進め、進め …」子どもでも読める平易な表現で、いまの時代にも心に刺さる詩です。子どもたちがそれぞれの進学先で力強く歩んでいくことを心から願っています!
1月の講座終了後まもなく、児童文学家・翻訳家の松岡享子氏がお亡くなりになりました。日本の児童文学の発展に多大な貢献をされてきた松岡氏。松岡氏 にゆかりのある「東京子ども図書館」や「かつら文庫」をご紹介しました。
さらに、ロシアのウクライナ侵攻にも触れ、個人のレベルでできることは何か、考えるヒントになる本をご紹介しました。有名な絵本『てぶくろ』は、ウクライナ民話ですが、ロシアにも似た構造の民話があります。その『動物たちの冬ごもり』を、ゲストの桂田による朗読でお届けしました。寒い冬に身を寄せ合う多様な動物たちの物語に、共生と平和について考えるひとときとなりました。
子どもの本の移り変わり
明治時代に書かれた日本初の創作児童文学から、大正時代の児童雑誌『赤い鳥』創刊、1950年代の「童話伝統批判」を経て、1960~70年代の絵本ブームへ。1980年代はタブーが崩壊し、児童文学の内容が広がるとともに、エンターテインメント性を追求する動きがみられました。現代は、子ども/大人、メディアの垣根を越えて、多様に展開しています。そのような日本の子どもの本の移り変わりを概観し、「子どもの本とはどのようなものであるべきなのか」について考えました。
最新の児童書を表すキーワードは、多様性・自然・過去(歴史)
最後に、最新の児童書の傾向を分類し、平沼が読んだ児童書のなかから特におすすめしたいものを、実際に足を運んだ舞台となった場所の写真を織り交ぜながらご紹介しました。
年度最終回は、 時間と空間を超えて幅広い子どもの本の世界を旅する講座となりました。今年度のご参加、誠にありがとうございました!
来年度も4月より開講。みなさまからリクエストの多かった「図鑑」「戦国武将」など新しいテーマも加わりました。これまでと同じテーマの回も、紹介する本は一新してお届けします。ぜひみなさまご参加ください!
(2022/3/17, 19実施)
【参考文献】
『武者小路実篤詩集』 (新潮文庫)、新潮社、1953
『ロシアの昔話』内田莉莎子 編/翻訳、福音館書店、2002
\ブックリスト公開中!/
今回の講座に関連するブックリストをスクールFC公式WEBサイトで公開しています 。
https://www.schoolfc.jp/extension/j-hiranuma/2021/#march
🌟2022年4月より、新年度の講座が始まります!
紹介する本のラインアップも一新してお届けします。お楽しみに!
「旅する読書~大人のための読書講座~2022」
https://www.schoolfc.jp/extension/j-hiranuma/2022/
第1回は、4月21日(木)・23日(土)、テーマは「本は友だち ~とびらを開けばひみつの時間~」です。みなさまのご参加を お待ちしております!
📕 平沼純 新刊のお知らせ
『マンガでわかる!10才までに知っておきたい名作120』
本体価格:1,500円+税
発売日:2021年12月10日
出版社:永岡書店・平沼 純
監修:高濱正伸
https://www.amazon.co.jp/dp/4522438796
🌸今回のゲストは、花まる学習会の臼杵遥志(木曜)、桂田拓弥(土曜) でした。
《表現教育プロジェクト》
https://peraichi.com/landing_pages/view/hanamaru-hyougen
#SchoolFC #スクールFC #国語 #読書 #本 #選書 #書籍 #昔話 #絵本 #児童書 #児童文学 #ファンタジー #読み聞かせ #文学 #オンライン #中学生 #高校生 #塾 #学習 #学び #花まる学習会