【松島コラム】『保護者として大変だったこと』 2021年7月

【松島コラム】『保護者として大変だったこと』 2021年7月

 少し前の調査になりますが、ベネッセ教育情報サイトが、受験した保護者を対象に「どんなことが大変だったか」というアンケートをとりました。いつの時代でも受験生の保護者の悩みは、「子どものやる気、志望校や成績、生活習慣や学習習慣」についてですから、この結果にはとても納得がいきました。
 5年生から6年生の1学期は、「学習習慣と基礎固めの大切な時期」という親の意識と、まだまだ遊びたい盛りの子どもの意識とに大きな差があります。親が「子どものやる気がない」と感じる理由は、その多くは時間の使い方にあると思います。「友だちと遅くまで遊んでくる、だらだらしている時間が長い、テレビやゲームにけじめがない」など、決められた時間を守れないことから、やる気がないと感じてしまいます。また、「子どもが成績に無頓着、あきらめが早い」など目的意識への不満にも、その理由があるかもしれません。しかし、そのような状況でも成績さえ上がっていればまだいいのですが、この時期は月例テストやまとめテストのような範囲が決まっているテストが中心ですから、学習姿勢がそのまま成績に表れてしまいます。したがって、「やる気がない」と感じているケースでは、学力でも不安を感じており、さらに時間管理でも苦労しているため、調査結果のような3項目が上位を占めることになるのです。
 やっとエンジンがかかってきたかなと感じるのは、6年生の夏休みごろからです。
昨年は様々な制約の中で夏期講習を行いましたが、むしろ例年通りかそれ以上の時間を学習に充てられた受験生も多かったようです。今年も長期の宿泊を伴う「勉強合宿」は中止にしましたが、それに代わる「サマーチャレンジ」を通して、勉強に本気に取り組む楽しさを伝えながら、受験生としての意識改革を促していきます。

「中学受験(検)対策について、あなたが大変だったと感じたのはどんなことでしたか」
(最大3つまで回答)          
①小学5年生の時
勉強のやる気 43.7% 成績・学力の伸び悩み 32.0% 日々の時間のやりくり 23.1%
②小学6年生の4月~7月
勉強のやる気 44.4% 成績・学力の伸び悩み 41.9% 日々の時間のやりくり 27.9%
③小学6年生の夏休み
勉強のやる気 43.4% 成績・学力の伸び悩み 36.3% 日々の時間のやりくり 28.2%
④小学6年生の9月~12月
成績・学力の伸び悩み 39.3% 勉強のやる気 36.3% 日々の時間のやりくり 32.0%
⑤小学6年生の1月~入試直前
子どもの健康面 44.2% 子どもの精神的なストレス 34.8% 日々の時間のやりくり 26.1%

 6年の2学期は、志望校の判定結果が続々と出てきますから、「成績・学力の伸び悩み」が一番の心配事になります。「あんなに夏にがんばったはずなのに」というジレンマを抱える時期でもあります。夏の成果が出てくるタイミングには個人差があるのですが、初めて受験をするご家庭にとっては霧の中にいる状態です。拙著『中学受験 親のかかわり方大全』(実務教育出版)では、そうした不安・悩みへの向き合い方や解決法を、受験準備期から合格後まで時系列に載せていますので、参考にしていただければ幸いです。またこの時期は、「勉強のやる気」が減り、「日々の時間のやりくり」が増えています。過去問演習、特訓授業、会場模試、学校説明会、保護者面談など、スケジュール管理がたいへんだったことを物語っています。
 入試直前は「子どもの健康面」や「子どもの精神的なストレス」が増える時期です。もし今年同じ調査を行っていたら、「子どもの健康面」の数字はかなり高くなっていたでしょう。来年に向けてまだまだ予断を許しませんが、コロナ2年目の入試になりますので、学校側も事前の情報開示と十分な対策をしてくれます。それに合わせて受験生側もしっかりと準備をしていきましょう。
 このベネッセの調査では、「お子さまの中学受験(検)をとおして、達成感を感じたり、あなた自身の成長を実感したりしましたか?」の質問に対して、61.2%の方が「はい」と回答しています。個人的には残りの38.8%の方はどう感じたのかが気になります。
 スクールFCでは、すべての親子にとって受験が成長の機会になるよう、引き続きサポートをしてまいります。お困りのことがありましたら、お気軽に担当者にご相談ください。

スクールFC代表 松島伸浩


著者|松島 伸浩

松島 伸浩 1963年生まれ、群馬県みどり市出身。現在、スクールFC代表兼花まるグループ常務取締役。教員一家に育つも、私教育の世界に飛び込み、大手進学塾で経営幹部として活躍。36歳で自塾を立ち上げ、個人、組織の両面から、「社会に出てから必要とされる『生きる力』を受験学習を通して鍛える方法はないか」を模索する。その後、花まる学習会創立時からの旧知であった高濱正伸と再会し、花まるグループに入社。教務部長、事業部長を経て現職。のべ10,000件以上の受験相談や教育相談の実績は、保護者からの絶大な支持を得ている。現在も花まる学習会やスクールFCの現場で活躍中である。

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