いよいよ、今年度最後のコラムとなりました。教室前の大通りの雪柳は、花を開きはじめ、春の訪れを感じます。つい先日、3年生のHちゃんと窓の向こうの雪柳を見ながら、「きれいだね、春が来るね。Hも、もう4年生になるんだね」と話をしました。Hちゃんと出会ったのは2年前でした。頭の位置が高くなったことも、成長の一つ。出会いと別れの入り混じるこの季節に、なんだか胸がくすぐったくなる、幸せな瞬間でした。
話は変わりますが、3月上旬に、私が中学生のときにお世話になっていた“塾の先生”の元へ行きました。高校受験のときに大変お世話になり、大学受験の際も通塾していない私を快く受け入れてくださった塾です。地元の図書館で朝10時頃から勉強し、閉館後17時過ぎから塾の自習スペースを借りて再度勉強…そんなサイクルでした。勉強に行き詰まったとき、進路について悩んだとき、どんなときでも温かく受け入れてくれた塾のおかげで、無事に大学受験へと向かうことができました。Y先生は私にとって、憧れの先輩です。
先日、その塾に行ったのは午後3時頃でした。塾長のY先生が当時好きだった、数百円の「カスタードケーキ」を片手に赴きました。ガラッと引き戸を開けると予想通り、当時と変わらず「バッハ」が流れており、懐かしさに包まれました。カスタードケーキを渡すと、「雅也、よく覚えていたな(笑)」と嬉しそうにしてくれるのです。その後はざっくばらんに仕事の話、結婚の話、仲間の話…とめどなくいろいろな話に花を咲かせました(それこそ、雪柳の花のように)。結局、1時間以上話し、なんとも心地の良い時間を過ごしました。思い返せば、大学生の頃は自分の勉強をしつつ、中学生に数学を教えたり、高校生と進路の話をしたりしていました。いま、こうして花まるの先生をしているルーツに、この塾の存在は欠かせないものなのです。学校でも、家でもない“塾”という空間でいろいろなことを学ばせてもらったと、改めて思いました。この地で私自身が塾の先生を続けることは、Y先生への恩返しにもなるのかなと思うと、襟を正さねばと思います。今日をもって花まるを卒業する子はたくさんいますが、縁あって出会えたみなさまと、この地でずっとつながっていたいと心から思います。
さて、卒業するみんなへ。花まるは、楽しかったかな?友達ができたり、大きな花まるをもらったり、大会で優勝したり、野外体験に行ったり…いろいろな思い出があると思う。1つでも「花まるに入ってよかった」と思ってくれることがあれば、雅也先生はとっても幸せです。それぞれの道をこれから進んでいくけれど、今日は決して別れの日ではありません。みんなのことをいつまでも応援しています。きみたちなら、きっと立派な大人になれる。自信を持って次のステップに進んでいってください。
花まる学習会 植田雅也(2021年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。