【イベントレポート】旅する読書~大人のための読書講座~2022年度第7回「ようこそ『この世ならざる者たち』の世界へ」

【イベントレポート】旅する読書~大人のための読書講座~2022年度第7回「ようこそ『この世ならざる者たち』の世界へ」

スクールFCの人気国語教師 平沼純による連続読書講座「旅する読書~大人のための読書講座~」。今年度第7回となる11月は、「ようこそ『この世ならざる者たち』の世界へ」というテーマでお送りしました。

質問にお答えします!

まずは、前回のアンケートでいただいた質問にお答えするコーナー。今回は「子どもにおすすめの落語の本があれば教えてください」という質問にお答えして、『子ども寄席』シリーズや『落語絵本』シリーズをご紹介しました。

日本全国妖怪めぐり

本日のテーマは「この世ならざる者たち」。妖怪を描いた漫画家・水木しげる氏が長く住んだ調布にある「鬼太郎茶屋」内の「妖怪ギャラリー」には、日本全国の妖怪を集めた「妖怪日本地図」があります。

そこにも表されているように、日本には全国に実にさまざまな妖怪伝説があります。京都の羅生門、六道珍皇寺、伏見稲荷大社など、「この世ならざる者たち」との交流が伝えられているスポットをたくさんの写真でご紹介しました。

 

妖怪は、なぜ生まれるのか?

東京中央区佃。ここでは「妖怪狐」が、幕末に流行したコレラの元凶として退治されたとされています。このころ、実は人々の間では「コレラはアメリカからやってきたのではないか」と考えられていました。黒船など外国からやってきた人たちへの恐怖や、不安定な政治・社会状況への不安な気持ちが妖怪狐に託されたのかもしれません。

異質なものへの不安や恐怖心が異端者に転嫁されるという現象は、ヨーロッパでのペスト流行でのユダヤ人虐殺、魔女狩りなどにも表れています。

コロナ禍のなかでは「アマビエ」がブームになりました。松谷みよ子氏は著書『現代の民話―あなたも語り手、わたしも語り手』(中央公論新社、2000)の中で、「人は生きていくなかで、自らも気がつかないうちに語り手となり、民話を生みつづけているのだ」と書いています。よい語り手でありたい、と心から思うひとときでした。

妖怪の深みを探究した人たち

講座の最後は、「向こう側の世界を見つけ続けた人たち」を、ゆかりの地と本とともにご紹介しました。建築家・伊東忠太、作家・小泉八雲、哲学者・井上円了。伊東氏が設計した築地本願寺には、妖怪のモチーフがたくさん用いられているそうです。妖怪に注目して訪れてみたいですね。

終わりに、花まる教室長として指導にあたりながら、日本各地で落語と教育を掛け合わせたオリジナル授業を展開している小幡七海が、落語「一眼国」を披露しました。この落語のオチは、まさに今回の講座の内容を表しているようでした。

今回のおまけコーナーは?

講座終了後、平沼が担当している「合科授業」で子どもたちが考えた「オリジナル妖怪」をいくつかご紹介しました。温室効果ガスから生まれた「フロ雲」、スマホの画面に宿って人の目を離せなくしてしまう「妖怪ピカピカ」、誹謗中傷の言葉を吐き続ける「妖怪アンチさん」など、現代の世相を反映した数々の妖怪。子どもの発想力・表現力に脱帽です。みなさまも、オリジナルの妖怪を考えてみてはいかがでしょうか?

(2022/11/17,19 実施)

 

📚今回の講座に関連するブックリストをスクールFC公式WEBサイトで公開しています。
https://www.schoolfc.jp/extension/j-hiranuma/2022/#november

📚神保町ブックハウスカフェでも連続講座を開催しています!
平沼純 連続講座「大人のための読書講座~とびらを開いて物語の旅へ~」
待望のリアル開催!オンライン配信もあります。
▼ブックハウスカフェのホームページよりお申し込みください。
https://bookhousecafe.jp/event/content/544

 

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