【西郡コラム】『西郡勉強会 “学びを考える会”で話してきたこと』 2021年9月

【西郡コラム】『西郡勉強会 “学びを考える会”で話してきたこと』 2021年9月

 毎月第三土曜日に、「西郡勉強会 “学びを考える会”」を開いている。学習方法、進学受験、子育ての悩みなど教育の諸問題からテーマを決めて保護者と考える会だ。道場スタッフや私がテーマに関する基調報告をして、その後、保護者と意見交換や質疑応答をおこなっている。
 昨年9月の第1回目では、テーマを「学習道場の方針とオンライン授業について」とし、すべての活動をオンラインに積極的に切り替えた意図、オンライン道場の方針を話し、理解を求めた。翌月の「西郡学習道場の学習~基礎学力編~」(2020年10月)では、生涯学習の土台となる「基礎学力」を私たちがどう考え、実践しているか、またその翌月の「西郡学習道場の学習~中学受験編」(11月)では、道場の受験指導と実践を保護者に理解してもらい、意見を聞いた。「子どもが伸びるとき」(12月)では、子どもが成長して変わっていく事例を紹介、子育ての参考にしてもらった。「中学受験にしますか?高校受験にしますか?」(2021年1月)では中学受験と高校受験の特徴や違い、メリット・デメリット、向き不向きなど選択の参考にしてもらった。「保護者版!道場体験」(3月)では、保護者が生徒役になって通常の道場授業を体験、また「道場座談会~新年度の我が子 相談会~」(4月)では保護者がグループに分かれて、子育ての悩みを話し合ってもらうなど、保護者が主体的に発信する進行をとった。「2020年度入試報告会」(5月)では昨年度の受験傾向と道場の取り組みと結果を報告した。
 7月のテーマ「夏休みの過ごし方」では、私が基調となる話をした。早寝早起き、規則正しい生活、宿題、日課の学習の進め方、体験の重要性など「夏休みの過ごし方」として定番となる話をした後に、今年の夏に最もやっていただきたいことを話した。
 コロナ禍が一年半以上も続いている。昨年、1回目の緊急事態宣言下で学校が休校になったころは緊迫感もあった。コロナ感染が収束に向かっていないが、withコロナで緊張感は薄れてきている。規制を緩和すれば第2波、3波…と波が起きる。コロナウイルスは変異して感染力がより強く、子どもへ感染して拡散する恐れが出てきた。社会全体に閉塞感がまん延して、社会は、大人は疲弊している。手洗い消毒、マスク着用、密の回避、外出自粛など行動が制限されている子どもたちはストレスを抱え、疲弊する社会や大人を見て、ますます、先行きの危うさを感じ取っている。子どもが学習に向き合えない、集中できないという相談を受けた。自分自身が感染する不安にも過敏だが、それ以上に働くために外に出る父や母が罹らないかと不安を募らせている。ニュースで見る大人の感染に父母を重ね、不安はますます増幅する。家族思いの、心の根の優しい、想像力の豊かな子なのだ。
 こんな時期だからこそ、やってほしいのは子どもと一緒にいる時間を増やすこと。旅行やキャンプ、イベントなど行くことができないかもしれない。外に出かけられないことを嘆くことより、その分、家庭内の活動を一緒にできると前向きに行動する。掃除や洗濯、料理を、一緒にやってみる。間違えたら、失敗したら、笑う。上手くいったら褒める。笑うも褒めるも、何なら叱るもすべて、その根底にあるのは、あなたの存在そのものが私(親)にはかけがえのないことだ、ということ。このことを子どもが感じ取るまでしっかり抱いてほしい。コロナ禍の今、逆境なら素直に抱くことができる。
 子どもたちがこれから生きていくうえで様々な経験をする。この経験が生きる糧になる。いいときもあれば上手くいかなこともある。挫折、絶望は必須で当然のこと。そんなとき、生きていく最終防波堤は自分をかけがえのない存在だと思ってくれる人が身近にいるかどうかだ。

西郡学習道場代表 西郡文啓


著者|西郡文啓

西郡文啓 1958年生まれ。県立熊本高校卒業。高濱代表とは高校の同級生、以来、小説、絵画、映画、演劇、音楽、哲学等、あらゆるジャンルの芸術、学問を語り合ってきた仲。高濱代表が花まる学習会を設立時に参加。スクールFCの立ち上げを経て、花まるグループ内に「子ども自身が自分の学習に正面から向き合う場」として西郡学習道場を設立する。2015年度より、「地域おこし協力隊」として、武雄市の小学校に常駐。現在「官民一体型学校」として指定を受けた小学校「武雄花まる学園」にて、学校の先生とともに、小学校の中で花まるメソッドを浸透させていくことに尽力中。

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