「こわい」
いつもとちがう公園であそんだら、家のかぎをなくした。お母さんといっしょに、たくさんさがしたけれど見つからなかった。ただ、いつもとちがう公園であそんだだけなのに、こんなにたいへんなことがおこるなんて……と思った。だからかえり道に、お母さんに「いつもとちがうってこわいね。」と伝えた。思えばいつもとちがうことをすると、かならず何かがかわります。すきな食べ物がかわったり、9歳になること。これからも、たくさんのあたらしいことがあるはず。
かわることが、私にはこわいです。それなら、今日花まるをやめることは、私にとって、とてもこわいし、悲しいことです。
8月に花まるを卒業した3年生のMちゃんが書いた作文です。この作文を書き終えたとき、Mちゃんは「今回の作文は自信作かもしれない!」と言って私のところへ持ってきました。そんなMちゃんはいつも「こんにちはー! 今日も楽しみだな!」と元気いっぱいに教室に入ってくる、天真爛漫な女の子でした。2年生の頃から真剣に続けてきたダンスの習いごとの頻度が、今年度に入ってから多くなってきたそうです。花まるは大好きだから、やめたくない。でも、ダンスをもっと真剣にやりたい。「何かを新しく挑戦するときには、何かを諦めなくてはならない」という選択を目の前に、Mちゃんは葛藤し、悩んだ末に自分の意志で「ダンスを真剣にやる」という選択をしました。
作文を受け取ったあと、どこか不安そうな表情をしているMちゃんと話をしました。「作文からMの気持ちが伝わってきたよ。Mはいま、こわいのかな? 不安なのかな?」と聞くと、Mちゃんは「うん。不安だな。だって、これからきっと大変になるんだ。絶対。だからこわいんだよ〜。花まるに行ったらいつも褒めてもらえるから、できる!頑張る!って思えるんだけれど……花まるがなくなったら、私、大丈夫かなぁ〜」と素直に自分の気持ちを話してくれました。
「いつもと違うこと」とは、Mちゃんにとって新しいチャレンジで、これから訪れる未来に対して不安を感じているのかもしれない。Mちゃんにはこれからの道をワクワクしながら歩んでほしい。そう感じた私は、Mちゃんに「自分で進む道を決められるってすごいこと。自分の選択に自信を持っていいんだよ。Mは『大変になるし、変わるのがこわい』って言ったよね。大変って、漢字で大きく変わると書くんだよ。大変だと感じるのは、Mが成長する証。こわいことではないんだよ。Mなら大丈夫! 応援しているよ。いつでも戻っておいで」と伝えました。
これから歩いていく道を自分で決めるとき、不安になることもあるでしょう。しかし、その先で新しい自分と出会い、大きく成長することができます。歩いていく先で、たとえ立ち止まっても、転んでも、「自分で決めた」からこそ、また立ち上がることができます。教室の子どもたち全員が、一人ひとり可能性に満ちあふれています。だからこそ、子どもたちに「できるよ! 自分を信じて!」と伝えています。子どもたちが、「変化」を楽しみながらチャレンジしていけるように。
花まる学習会 川岡未歩(2023年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。