【西郡コラム】『自学のすすめ』 2021年1月

【西郡コラム】『自学のすすめ』 2021年1月

 授業の開始時、本科コースでは自学の生徒ともに全員で音読をする。四百字スラスラ音読は、集中力を高める。読み飛ばしすることなく正確に読む。語彙、語群、意味のまとまりを瞬間に把握して読む。何度も声に出すと音のリズムとして頭に残る。四則計算がスラスラできることが算数の基本のように、一分間に四百字程度をスラスラ音読することは、国語の基本。国語も英語も、語学は、まず音読が基本中の基本。英語の教科書をスラスラ読めれば、中学で英語の授業は苦労しない。

 どんな子でも毎日練習すれば音読は上手くなる。基礎となるアイウエオの発声練習や早口言葉、四字熟語やことわざ、俳句に詩、古文、名文美文、都道府県名でも、理科の用語でもいい。集中してテンポよくはっきりくっきり声を出す。持って生まれた能力は問わない。だれでも、毎日の練習で音読は上手くなる。

 学習道場には、学習の“道“を説いた“道場の心得“があり、これも音読する。繰り返すことで、今わからなくても、学習を続けていけば腑に落ちる。頭に残像を記している。心得の一つに「一、今やる、すぐやる、ちょっと待ったはなし」というのがある。あと五分で十七時。「やろうかな…」と思ったそのときにやる。食事が終わった後ではなく、空いた時間に今やる。

 先にも話したように、一分間に四百字程度をスラスラ音読することを提唱している。一分だ。サボテンのリミットは三分だ。今、さっさとやる。学習もそうだが、仕事のできる人は実践して、時間を有効に使っている。

 時が経つと勢いを失い、気力も失せてくる。だからこそ、中途半端な時間でもパッとやってしまう。そして、スイッチON。一気集中する。今やることだけに集中する。他のことはやり終えてからやる。その時の集中力を体得させたい。一瞬にして集中すること。そして、集中力の深さ。学習と自分が一体になる感覚、一種のフロー状態。没頭するということだ。この感覚が習得できるかどうかが、一生学び続ける人であるかどうかの分岐点。

 先日、小学校を訪れたとき、子どもたちが興奮して、「すげえ、これ見て、これ(虫)が学校にいるんだよ」と、見も知らぬ私に見せてきた。興味関心、好奇心の強い子、夢中になれる子があと伸びするというのは、この集中力、没頭力を培っているからだ。

 「即、やってしまう」「一瞬で集中する」「学習と自分が一体になる」これが学習の肝。そして、この学習は生きる力になる。じっくり思考する、熟考することもある。しかし日常生活では、たいがい即実行が効率いい。時間が経つと気力も記憶も失せる。仕事のできる人はさっさとやって熟考の時間をつくる。すぐにはできない。一生、自分の成長とともに自分の学習の仕方をつくっていく。自学では自分の学習の仕方をつくりあげていく。自分の学習の仕方が、自分の生きる道になる。だから、学習道場では、自学の時間を最も大切にしている。

 新型コロナウイルスの感染を避けるため、学習道場はオンラインでの授業に切り替えた。オンラインの最大のメリットは安心・安全だが、自宅での自学を皆と共にできることもメリットである。誤魔化さない、正直に自分の学習を曝け出す。「今、集中している」「自分の学習に向き合っていない」こういった指摘ができる。自学の仕方こそ、もっとも身に付けてほしい学習法だ。オンラインはそれを見ることができる。

 学習道場では、二月八日より新学期が始まります。通常の授業以外に、月曜日から金曜日まで“朝道場“や“夕方道場“を開放し、自宅での学習を見守ります。朝十分で構いません。計算や音読、とにかく一気集中した時間をつくってから学校に行くこと。下校後、自宅での学習=自学の仕方を学びます。

 見学や体験を歓迎します。詳しくはHPをご覧ください。

西郡学習道場代表 西郡文啓


著者|西郡文啓

西郡文啓 1958年生まれ。県立熊本高校卒業。高濱代表とは高校の同級生、以来、小説、絵画、映画、演劇、音楽、哲学等、あらゆるジャンルの芸術、学問を語り合ってきた仲。高濱代表が花まる学習会を設立時に参加。スクールFCの立ち上げを経て、花まるグループ内に「子ども自身が自分の学習に正面から向き合う場」として西郡学習道場を設立する。2015年度より、「地域おこし協力隊」として、武雄市の小学校に常駐。現在「官民一体型学校」として指定を受けた小学校「武雄花まる学園」にて、学校の先生とともに、小学校の中で花まるメソッドを浸透させていくことに尽力中。

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