【79】一つの声で
「じゃあ、いまからあさがおやるよ!」
「え~、○○あさがおやりたくない最悪~……」
教室で1年生のAちゃんが言っていた言葉です。
かなりあさがおに苦手意識がある様で、テキストをすごくゆっくり嫌そうに出していました。ですが、私が一言伝えるとその子は、あさがお終了後には「先生!あさがおもう1ページやったらダメ?」「〇〇、あさがお大好き!」と言っていました。私自身もその変わり様にとてもびっくりしました。特別なことは何一つしていないからです。
私が伝えたのは「ほんと?○○ものすごく字が上手じゃん!!」という一言です。たったそれだけ?と感じたと思いますが、その一言を伝えると、「え~、先生そうかな~?」と照れて嬉しそうな様子。さっきとは全く違う表情を浮かべています。「そうだよ!名前も上手だしさ。他のページも見せてよ。」「いいよ!宿題も大変だったけど頑張ったんだ~。」とすすんで見せてくれました。そして、いくつかの字に花まるをつけると自信が湧いたようで、最後には嬉しそうにまだやりたいと言っていたのです。
その子は本当に字が上手だったのですが、もしその子の字が上手ではなかったとしても少しでも一生懸命書いたところを見つけ、同じように伝えていたと思います。どんな字でも適当にやってさえいなければ、その子なりの成長というものがみえるからです。文字の跳ねや、点の位置、大きさ、姿勢や鉛筆の持ち方、間違えた時にしっかりと消せているかなど些細なことでも、良いと思ったことを伝えるようにしています。そこから自信がつき、「自分ならできる!」そう思ってほしいのです。
子どもたちがやりたい・やりたくないなど判断する基準は「できるか・できないか」なのではと思います。できることは楽しい・もっとやりたい、できないことは苦手・やりたくない。そのような姿をよく見てきました。私個人としては、できなくて苦手なことも頑張ってほしいという気持ちはありますが、そういったものも言葉一つで好きになってしまうこともあるのが今の時期です。だからこそ、良いところを見つけ伝えようと心掛けています。