【70】「知りたい!」「学びたい!」の種まき
先日行った「国語大会」ですが、川柳や慣用句、漢字に触れていきました。
川柳の作成を通して、俳句とは違ったライトな言葉遊びの楽しさを知ってもらえれば良いと思っています。五・七・五の言葉のルールは知っている子がほとんどでしたが、「リズム感」のイメージはあまり理解していないようでした。例えば、漢字で熟語を書くと2文字でも実際の読み方は5文字を超えるということもあります。「あそびましょう」という言葉は7文字ですが、リズムで捉えると5文字でおさまります。そういうリズムの心地よさを知ってもらうために手拍子でパパパパパン…というように耳と動作でも体感してもらいました。そして、川柳の面白さは自分の心をさらけ出すことですが、実はやってみると作文よりも簡単に気持ちをさらけ出しているなということを感じます。作文で、「自分の気持ちを書きましょう」というとどことなくハードルが高くなります。それは、どこまでも永遠に続きそうな文章の量が心理的なカベとなっていることが多いからです。しかし、川柳のように五・七・五の文字数で決まっていれば、どういう文章を書くかではなくて、自分はどう感じたかにフォーカスしやすくなるのだと思います。そうやって川柳で言葉を紡ぎ出していると、興味深いのがプラスの感情だけでなく、マイナスな感情もちらほら見受けられることです。多くの子は作文で気持ちを書こうとすると、正攻法のように良いことを書かなければならないという思考になりがちで、結果「楽しかったです」「うれしかったです」で締めくくろうとしてしまいます。しかし川柳という型で気持ちを表現すると、もっともっと気持ちが細分化されていき、感情の動きもかなり細かい一部分を切り取れるようになるのだと子どもたちが作る作品を見て思いました。よく考えてみれば、この五・七・五のリズムで綴られている言葉の延長に長文の作文があるのかなとも思います。
慣用句を日常の中で意識して使う子は稀でしょう。しかし、それぞれの言葉を聞けば「あぁ~聞いたことある」と記憶にある言い回しもあったようです。「口を割る」のように、直訳で意味を考えてしまうと、「それあり得ない!」と思う組み合わせも、「割る」からは「さらけ出す」「解放する」のようなイメージが掴めると、なるほど!と思えます。今回は、「口、足、顔、腹」など、イメージし易い文字の慣用表現に触れました。
例えば、「手も足も出ない」「歯が立たない」のように、別の慣用句で似た意味の言葉、あるいは「引けを取らない」のように対義語としてのニュアンスになる言葉を探していくのも語彙力を広げていく方法です。何か言葉を一つ覚えたら、「同じ意味の言葉は何があるかな?」「反対の意味の言葉って何だろう?」とご家族でいろいろ考えていく時間を設けることで、有意義な学びの時間となります。
漢字は「練習」というワードが出ると課せられたものとしてどこかやらされ感を抱きますが、「見つけ出す」「探し出す」という伝え方にすると夢中で辞書をめくり書き出すようになります。学習させたいものに「ゲーム性」の要素があると本気になるのはどの年齢の子も変わらないなと思います。そして、漢字を探し出すミッションを通して得られる「モレなく探しだす集中力」こそ、学習において積み上げておきたい力です。「草かんむりで3画の漢字」を見つけ出すために、多くの草かんむりの漢字を書きだし確かめていった子どもたち。そうやって自然と漢字を書くという行動を起こせています。3画のカタカナを見つけ出すために五十音全てのカタカナを書き出すことに必死になった1年生の子は、あと1つ数えモレていたことで完答にはならず悔しさを見せていましたが、それにより見逃したカタカナの印象が鮮明に残ったはずです。
特別授業で触れたコンテンツはきっかけにすぎません。言葉のゲームが面白かった!という感情から、〇〇はどうなんだろう?と次の興味につながっていければ本望です。