【58】好きなものパワー
〇月から〇〇教室の教室長になりました〇〇と申します。
私は小学生のとき、勉強のモチベーションが上がらずに宿題が夜まで終わらないことがよくありました。
私が通っていた小学校ではプリント類の宿題以外に毎日「自学ノート」を使って1~2ページほど自分の勉強をしてくる宿題がありました。
やらないと終わらない。でも、やりたくない。どうしたら少しでも楽しく勉強をすることができるかなと思っていた私は、ある一つの方法を見つけました。
それは、「文章中の言葉を自分の好きなものに置き換える」ということでした。
1年生のSくんが算数プリントに取り組む様子を見て、自分の体験を思い出すことができました。
算数プリントをカバンから出し、日付と名前を書いた後にすぐ
「わからな〜い」
と言って伏せてしまったSくん。
『しろいボールが8こ、くろいボールが6こあります。どちらがなんこおおいいのでしょうか。』
という問題がわからないようでした。
「先生が問題読んでみるね!」
と言ったり、
「問題文の数字にしるしをつけてみよう!」
と声掛けをしたりしましたが、
「わからないんだもーん」
と言って伏せたままでした。
Sくんは普段から山手線の電車が大きくプリントされているクリアファイルを自慢して見せて回るくらい電車が大好きなので、「見て見てSくん!この白い方が8両の電車ね。黒い方は6両の電車。どっちの電車が何両多い?」
と聞いてみました。すると、
「白い方が2両!」
と顔を上げて即答。その後すぐに、
「はっちりょう、はっちりょう。ろっくりょう、ろっくりょう。」
と歌いながら白いボールの絵と黒いボールの絵をそれぞれ線で結び始めました。線で結ぶことで連結した電車を表しているようでした。
やる気になったようなのでこのままいけるかなと思った私は
「すごいじゃん!そうだね!それをそのままここに書けばいいんだよ!」
と伝えました。すると、
「書き方がわからないんだもーん」
と言ってまた伏せてしまいました。
ここで初めて、Sくんは引き算の式の書き方、穴埋めでどこにどの数字を書けばいいのかがわかっていなかったのだということに気づくことができました。Sくんのやる気を引き出すことができなかったら、どこまでわかっていてどこからがわかっていないのかに気づくことができなかったかもしれません。引き算の式の書き方が理解できたSくんは、その後テキパキと算数プリントを終わらせることができました。
私が小学生の時は問題の登場人物をすべて好きなアイドルの名前に置き換えて読んでいたことをSくんとのやりとりから思い出しました。好きなもののパワーは偉大です。
子どもたちが自分でやってみようと思える原動力は「楽しい!」にあるのだと今回改めて気づかされました。子どもたちのやる気を引き出すために、花まるの教室では私たち講師が様々な方法で子どもたちの「楽しい!」「おもしろい!」を見つけていきます。
これからも子どもたちが楽しみながら学んでいける教室運営をしてまいります。