【50】やれるまでやればできる
「なんとすごい事が!」
おととい、小数と整数のテストをやりました。今日その結果が返ってきたのですが、なんと百点でした。もらった時、先生にほめられたのですが、「できていたんだ!」とおどろきの気持ちでいっぱいでした。たくさん復習した成果が出ました。…
5年生のAが先日書いた作文の一部です。去年から高学年クラスに通っているA。スタートして数ヶ月は、「動画で予習する」ことにすごく苦労していました。視聴するが、分からないところが多く、授業で確認ペーパーを解いても、なかなか進みませんでした。
Aと繰り返したのは、「わからなかったところを一緒に復習する」ということでした。わからなかったところ・ミスが多かった時は、授業が終わった後、時には授業がない日も使って、一緒にもう一度解きました。ただ正直、居残りをするAを見て、「辛そうだな…」と、私も苦しくなる日もありました。予習で手を抜いているのであれば、話は別です。Aは頑張って予習している、でもそれが授業で表れてこない。Aの気持ちが切れないか心配でしたが、「分からないもの、ミスをそのままにしない」ことを伝えたい一心で、Aと一緒に取り組み続けました。
流れが変わったのは夏休みでした。高学年クラスでは8月末に、「夏模試」という復習テストを実施し、自分の理解度チェックを行います。夏休み前、子どもたちには「夏模試に向け、1学期の復習をしよう」と伝えていました。具体的には、自分の苦手な単元の×解きをもう一度やろうという内容です。
Aも確認ペーパーの×解きを頑張っていました。ただ「夏模試」は、確認ペーパーと同じ問題ではなく、初見の問題がたくさん出てきます。限られた時間でどこまでできるか、すごく不安でしたが、その不安をかき消す結果が出てきました。なんと算数も読解(国語)も、8割を超える正答数。この結果に私も、お母さんも大喜びでしたが、一番喜んでいたのは間違いなくA。声で喜びを表現することはありませんでしたが、明らかに彼の表情と行動は大きく変わりました。「夏模試」以降も、時々居残ることもあったAですが、「先生、今日も復習頑張ります!」「先生、来週もう一度テストを受けたいので、復習します」と自分から言うようになりました。その流れで「冬模試(2学期に学習した内容の確認)」でも良い結果を出したのです。
他の行動にもいい影響が出るものです。例えば教室コンテンツの時間、私が全員に問いかけたことに対し、2学期以降、全体の前で手を挙げて自分の考えを言えるようになったA。4年生スタートの時には考えられないほど、彼は大きな自信を得て5年生に進級しました。今では、予習の段階でポイントを掴むことがうまくなり、確認ペーパーでは理解度の高さを見せてくれています。
冒頭の作文は、こんな過程で変化してきた彼の作文です。誰よりも復習の大切さ、復習すればできるようになるということを知っているAだから書ける作文。彼の言う通り、「たくさん復習すればできるようになる」ことは、すごく地道で、誰もが逃げたくなることですが、力をつける道の一つであることに間違いはありません。
先日授業で解いた確認ペーパーにこんなことを書いていた子がいました。
「宿題をやってきて、分かってから解くと楽しい!」
その子はこの時の気持ちが原動力となって、怠けがちだった宿題のリズムが良くなりました。
一方、授業前の動画視聴、演習ペーパーを頑張ったのに、あまり確認ペーパーでよい結果が出ないと、マイナスな気持ちになる子、悔しい気持ちになる子、恥ずかしい気持ちになる子もいます。時々、ごまかしたくなる子もいるかもしれません(オンラインでも、ごまかそうとしていることは、意外と見えるものです)。ただ、ごまかすことが常習化してしまえば力はつきません。自分のミスに向き合えていないからです。例として挙げたAが力をつけられたのは、「自分のミスに向き合えた」から。Aが私に教えてくれました。「時間はかかっても、向き合えば絶対に力はつく」と。Aが教えてくれたことを胸に、引き続き子ども達のつまずきに一緒に向き合っていきます。