【40】10年後の君へ

2012年8月
 「ありがとうございました!」「またどこかで会えたらいいね!」「さようならー!」2泊3日のサマースクールの解散式。(当時は解散式というものがありました。)手を振り何度もこちらを振り返って名残惜しそうに帰っていくA君。『またどこかで会えるといいね』『将来高校生リーダーとして戻ってくるのを待っているよ』と心の中でA君に伝えました。

2019年7月
 「○○覚えていますか?自分が小学校3年生のときに班リーダーでした!」「覚えているよ!」サマースクール開催前に行う参加リーダーへの研修。その研修会場で再開したA君(高校生リーダー)は当時の面影がないほど成長していました。挨拶・姿勢・受け答え。もう子どもではなく一人の青年として成長した彼の姿に嬉しさが込み上げました。

2021年4月
 「来年は待ちに待った班リーダー(高校生リーダーではなく)としてサマースクールに参加できる!」「花まる学習会と出会えてよかったです!」「サマースクール最高!」など多くのコメントでチャット欄を盛り上げてくれたA君。卒業生を対象としたオンラインイベントでの一コマでした。

2022年8月
 「1班リーダーの○○です!よろしくお願いします!」とAの挨拶。サマースクールの現場にて偶然同じコース、同じ宿になりました。コース中、目の前の子どもたちに対して全力で精一杯頑張る彼の姿。私自身10年という歳月の中で、一人の男の子の成長と葛藤、全力な姿を見て『彼はもう大丈夫。一人の大人としてメシを食っていける。』と確信しました。

 10年前の君へ。
 「リーダー。帽子がなくなった。」「そっかぁ。自分で探してみたんだね。よし!一緒に探そう!」「ここ(他の子のリュックの下)にあったね!」見つかった帽子を被って廊下に駆け出していくA君。「走るなー!」私の大声が響きました。
『大丈夫。まず自分で探してみた(チャレンジできた)ことが素晴らしいよ!』

 「嫌いなキャベツ食べたよ!」「Aが嫌いなキャベツを食べましたー!!」パチパチパチ!みんなに大きな拍手をもらい少しはにかんだ様子のA君。
『大人になって「嫌いな食べ物ある?」と聞いたら「ありません!」と笑顔で答えてくれたね。』

 「魚がぬるぬるして気持ち悪い。」「両手でぎゅっとすると捕まえやすいよ。」「リーダー!やったよ!」と、両手でぎゅっと握った魚を見せてくれたね。
『そのチャレンジした気持ちは将来にとって大切な一歩になるよ!』
『10年後班の子どもたちに、「みんな。魚の命を食べて、もらって、みんなは大きくなるんだよ。感謝の気持ちをもっておこうね。」としっかりと伝えていたね。その気持ちは班の子どもたちにも伝わっていたよ。』

 『君は、人の話をしっかりと聞き、自分事として受け入れることができる。そしてそれを後輩たちに伝えていくことができる。まだまだ困難なことは目の前に現れるかもしれない。けれど自分を信じて自分の夢に向かって歩き続けていってほしい。きっと素敵な大人になれるよ!』

 この夏Aに会って、話をして、過去のことを鮮明に思い出しました。サマースクールの最後の日、Aが「自分自身が高校生リーダーになろうと思った理由は○○(私のリーダーネーム)です。」と言ってくれました。「1年生や2年生の子だけでなく、当時3年生だった自分にもしっかりと向き合ってくれて、一緒に探し物をしてくれて、本当に嬉しかったです。」「雪国スクールも来年のサマースクールも絶対にリーダーとして参加します!」
 私たちができることは、子どもたちに基準を示し、向き合い、同じ方向を向いて歩くことです。年末には雪国スクールもあります。多くの子どもたちにとって成長のきっかけとなるべく全力で向き合っていきます。

 

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