【23】一歩踏み出して
2年生男子Aのお母さまからメールが届いた。
「いつもアルゴが大好きで「僕は考えることが大好き!」と豪語するAを見てアルゴのおかげだなぁ〜としみじみ思う今日この頃です。
さて、アルゴカップにエントリーするにあたりAが少し気になる発言をしたので先生のお力を借りたくて連絡しました。
「僕はどうせ勝てないから出たくない」というのです。話を聞くと
「みんな、20点以上30点以上とれるけど僕は最高でも18点くらい。だから勝てないから出ない」
というのです。
「お母さんは出ることに意味があると思うなぁ〜」といって、出ること自体は了承してくれたのですが…。
うまく「どうすれば勝てるようになるかを考えること」とか「勝てなかったとき、次をどう考えるのか」を伝えることができませんでした。先生から背中を押してあげていただけたら嬉しいです。」
7月10日に予定しているアルゴカップ(アルゴゲームの塾内公式戦)。花まる全校舎の子どもたちがお茶の水教室に一同に介し、アルゴゲームの大会を行う。
楽しみにしている子、ワクワクしている子はもちろんたくさんいる。また、独特の緊張感のなかで行うアルゴゲームは、普段とは異なった雰囲気なので緊張したり、不安になったりする。そんな感情がわくこともあるだろうが、それをも乗り越えて、真剣勝負することで、たくましく成長していく。
そして、真剣勝負だからこそ、本気で喜び、本気で悔しがる。涙する子もいる。楽しく思考力を身につけるだけではなく、強い心、豊かな心を育むことにもつながる大会であると考えている。
メールがあったその日が授業だったため、私は本人と話をした。
Aはというと負けず嫌いで間違いを嫌がる性格。自信がないとなかなか一歩を踏み出せない。授業中のアルゴゲームでは、よく考えられるけれど、一つ決めるまでに時間がかかる。「アタックしましょう!」と講師から声をかけられ、なんとか勇気をふりしぼり、一つアタックをする。
それでも2年生になり、成長は見られていた。授業中の発表の際は手を挙げて答えている。マジカルスティック(マッチ棒パズルのような教具)の答えが数パターンある問題に対しても、間違いを恐れずにとにかく手を動かして考えている。合っているかどうかを怖がって手を動かせなかった1年生よりも格段に成長していた。
そして彼にはそのことを伝えた。するとその日、お母さまからメールが届いた。
「本日は運動会もあったためかなりバタバタでした。Aとゆっくりするのがお風呂の時間になってしまい…疲れてグッタリですぐにでも寝たい雰囲気の中、
「タッキーと何かお話しした?」
と聞くと突然キラキラの目になり、
「タッキーがね『アルゴカップ、頑張ろう!』って言ってくれたの!
『Aは1年生のときと比べたらすっごくできるようになっている』って!僕は絶対正解が答えたいから時間内に言えないんだよ。間違ってるかもしれない答えを言うのがイヤなんだよ。だから点数がとれないんだ。みんなのヒントにもなるからアタックして言わなくちゃいけないんだよ。あ〜でも間違ってるかもしれない答えは言いたくないし〜」
と、自己分析までして葛藤していました。最後には
「けど、アルゴカップは頑張ってみる!」
と、頼もしい答えが!!!
親には絶対できない領域だと思いました。先生に相談して本当によかったです。」
2年生にしてここまで自己分析できていたら大丈夫だろう…。(笑)
と思いつつも、さまざまな葛藤のなか、自分で出場することを決意したAはたくましかった。アルゴカップが楽しみである。
また、私たち花まるの先生が外の師となり、ご家族の皆さまとは違った角度から話をすることで成長につながることも多くあると思う。お気軽にいつでもご相談ください。引き続き、子どもたちに言葉を届けてまいります。