【153】がんばりたくなる、がんばり続けたくなる

 暑い夏も終わりを迎え、間もなく秋の季節。まだまだ残暑が厳しいですが、朝晩の涼しさを感じる日も増える季節の変わり目。そんな季節の変化が追い付かないほど、日々成長し続ける子どもたちの教室での一コマをお伝えいたします。

 先日、国語大会を実施しました。大会授業では授業の最後にその日活躍した子どもにMVPのシールを渡します。MVPシールは大会で3人程度しかもらえないため子どもたちも全力で取り組みます。また、今回の大会授業では1テーブルごとの子どもの人数を4人程度と少なくし、テーブルごとの講師をつけずに行いました。そのテーブルの子どもたちで相談し協力し合うことが優勝のカギ。いつも以上に子どもたちの協力が大切な大会でした。

 そんな国語大会で2年生のMくんは絶対にMVPを取りたいと思っていたのでしょう。私が話を始めると力強い眼差しでぱっと目を合わせる姿が何度も見られました。実はいつものMは授業の途中で「これ難しいよ」「もう疲れちゃった」と弱音を吐くことがあり、集中力が切れ、目線が合わなくなることがあります。そんなMも今日は一味違い、90分間集中を続けていました。それに加え、周りと話すことが好きなMは持ち前のコミュニケーション能力を活かし「これどうしようか」「こうすればいいんじゃない?」と声をかけ、助けあっていたのです。こういった姿を見て彼にMVPを渡すことを決めました。取りたいと強く願っていたMVPシールをもらった瞬間、Mは両手で力強くガッツポーズ。「今日は絶対にMVPを取るんだ」と心に決めて突き進む力強さに頼もしさを感じました。

 子どもたちにとってMVPシールは花まるでがんばった証。目標に向かって進み続けることができます。国語大会から1週間後、全体で挨拶をしようとするとMとぱっと目が合いました。「さすが!Mバッチリ目が合うね!」と声をかけると「当たり前じゃん!」と返ってきました。先生を見ることはいつの間にかMの当たり前になっていたのです。それからも私が話をするときMと目が合わないことはありませんでした。ふと下を見るとファイルの上で輝くMVPシール。それを見るたびMはそのときがんばったことを思い出すのでしょう。

 それから私は考えを改めました。がんばった証という形のMVPシールにとどまらず、それを得たことがきっかけとなって大きな成長につながることもあるということを。思い返せば、私自身も子どものころもらったメダルやトロフィーを見て、力をみなぎらせていました。「この前1位を取れたんだ!今回もできる!」「また絶対とってやる!」と自分に発破をかけていたことを思い出しました。

 子どもたちが普段よりちょっぴりがんばってみたいと思える場所に花まるがあってほしい。子どもたちの笑顔はもちろんですが、子どもたちが今自分に出来ることを考え、もがき、がんばり続ける姿にも、心を揺さぶられます。私はそんな子どもたちを称え、これからもMVPシールを渡したいと思います。そしてその子どもがさらなる力を発揮できるように見守り続けていきます。次はどんながんばりを見られるのか。いつも楽しみで仕方がありません。

 

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