【138】ぐーっと考える時間

 今回のHIT(花まる学習会独自のテスト)と花漢(花まる学習会の漢字テスト)を受検した子どもたちを見て、思ったことがあります。テストにとって大切なこと、それはテスト本番のぐーっと考える時間、また正解や解き方などをすぐ確認するということです。

  今回の花漢では、子どもたちが最後まであきらめることなく何とか思い出そうと「こうだったかな?」「いや、こうじゃないか?」とたくさん手を動かしながら考えていました。そのように考えることで、最後に「あっ!」と思い出す子もいますし、残念ながら思い出せない子もいます。ただここで大切なのはあくまでも、たくさん手を動かしてぐーっと考えた時間だということです。そこにプラスしてすぐ確認することも重要です。なぜかというと、「思い出そう」「こんな感じだったかな」と考えると少なからず記憶に残ります。記憶に残るからこそ、次に同じ漢字が出てきたときに「あっ!これ前も出てきたな!わかる!」という気持ちになります。しかしテスト中に「もうこれわからないや」とすぐあきらめてしまうと記憶にも残らず次もまた同じ間違いを繰り返してしまいます。だからこそ、わからなくてもすぐにあきらめることなくじっくりと考えることが大切なのです。

 私がこう思うきっかけになったのは、学生時代の模試を受けた時のことです。その際、『田』の『+』の部分の書き順が出題されました。普段何気なく書いている漢字なので、改めて書き順を聞かれると果たしてあっているのだろうか?と不安になりました。大人でも急に聞かれると「ん?あっているかな?」「不安だな」と感じることがあると思います。不安になった私は問題用紙に何回も『田』を書いて確認をしました。しかし確信がなかったのです。不安なまま、テストが終わる最後の最後まで考え続けました。テストが終わった後、すぐに確認してみると結局間違えて覚えていたのです。ただそこからその書き順は決して忘れたことがありません。なぜか。それは記憶に残っているからです。「あーでもない、こーでもない」とぐーっと考えたことが記憶として残っている。この経験が大事なのです。

 テストの結果は確かに大切です。しかし、結果以外に何を得るかも大切だと私は思います。たとえ間違えても次に活かせれば何の問題もないのです。子どもたちにはこの「ぐーっと考える時間」も大切だということを、今後も伝えてまいります。

 

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