【128】小さな花まるの先生
昨年の年末、花まるでは雪国スクールがあり、私も参加してきました。実は、それが私にとって初めてのスキー経験でした。今回は、そこで感じた子どもたちの素敵なエピソードを紹介いたします。
二泊三日の花まるスキー王国のコースには「初めてスキーコース」と、ある程度経験のある「ステップアップコース」の二つがあります。私は事前に研修を受けたうえで、「初めてスキーコース」に参加しました。
初めてスキーコースの目標は『全員が滑れるようになり、リフトに乗ること』。練習場所の坂を上って滑り、アドバイスを聞いてまた滑りを繰り返し、みんなが真剣に練習をした結果、なんと二日目の午前中には子どもたち全員がリフトに乗ることができました。
子どもたちがリフトに乗って山の上に行き、ベテラン陣による本格的なスキーのレッスンが始まると同時に、私たちスキー初心者のリーダーのレッスンも始まりました。今まで子どもたちに「足をもっとハの字にして!」などと言っていたのですが、言葉で言う何倍も難しいことをここにきて実感しました。体重をしっかりのせて足に全力で力を入れないと、ハの字にしていても止まれません。これを子どもたちは一日で習得したのか!と、改めて感心しました。
そんな練習中、ステップアップコースの子どもたちが休憩で戻ってきました。すると「先生も練習しているの?」「僕が教えてあげるよ!」と、声をかけてくれました。うまく止まれないことを伝えると「足をハの字にする時は、内ももをくっつけるといいよ!」「エッジをたてるんだよ!」と、たくさんのアドバイスをくれました。もう一度子どもたちに見守られながら挑戦しましたが、途中からどんどん曲がっていき、コースアウトしてしまいました。そんな時、子どもたちの口からは「惜しい~!」「どんまい!」「もう一回!」と、前向きな言葉しか出てきませんでした。私たちリーダーがスキーの練習で大事にしている「前向きな言葉をかけ続ける」ということを、言われなくとも体現していたのです。まさに、「小さな花まるの先生」がたくさんいるようでした。そしてもう一度挑戦しに行き、次はしっかり下まで滑り、止まることもできました。滑っている最中に「そうそう!その調子!」と声をかけられ、止まれた時には「そうそれ!」「できたじゃん!」と、一緒に喜んでくれました。成長を一緒に喜ぶこと、どんなに失敗しても周りのおかげで常に前向きな気持ちで挑戦できること、これこそ、花まるの雪国スクールの魅力の一つなのだろうな、と感じました。
そうして私たちも無事リフトに乗り、何度か初級コースで練習をした後、ステップアップの子たちも滑っていた中級コースに挑戦することになりました。リフトに乗って上まで行くと、今までとは段違いの急斜面、長距離の坂が目の前に現れました。「これを滑るのか…」と、正直怖気づいてしまいました。しかし、後ろを振り返ると「早く滑りたい!」とうずうずしている子どもたちの姿がありました。まだ滑れるようになって一日も経っていないにもかかわらず、この坂を滑りたいと思える強さがあるのだなと感じ、負けていられない!と、私も気合が入りました。いざ滑り出すとどんどんスピードが出て、常にハの字にしてブレーキをかけていないとコントロール不可能になる勢いで、子どもたちと一緒に何度も転びました。しかし、転んで顔を上げた時、全員が笑顔なのです。転ぶことすら楽しいと思い、すぐに自力で立ち上がりまた滑り始めます。後から子どもたちに話を聞くと「たくさん転んだけど、転んだから上手になっていけたんだ。」「どうして転んだのか考えて滑っていたら、最後の方はほとんど転ばなくなった。」と、失敗を上達するための過程として考えていました。
花まるの雪国スクールの良さは、ただスキーのスキルが上がるだけではありません。リーダーが子どもに、そして子ども同士で声をかけあい、一緒に成長していくこと。受け取ってうれしい言葉をまた誰かに渡していく連鎖。そういった内面の成長ができるところが、良さの一つです。ぜひ一緒にスキーをしに行きましょう!