【127】46.4℃

 46.4℃。これが何を表す数字かご存知でしょうか。実はこれ、1923年9月2日未明に非公式ではありますが東京都で実際に記録された気温なのです。今年の夏は非常に暑い夏で、7月1日には群馬県伊勢崎市や埼玉県熊谷市など6地点で最高気温が40℃以上を記録するなど、以前に比べて40℃台はそれほど珍しいものではなくなってきたかもしれません。しかし気象庁が日本歴代1位としているのは2018年の埼玉県熊谷市、そして2022年の静岡県浜松市で記録された41.1℃。つまりそれよりも5℃以上高い気温が今からおよそ100年前の東京都で観測されているのです。これは先述したように非公式ではありますが機械の故障などではありません。しかしちゃんとした理由がある。その理由を以前高学年クラスの子どもたちと考える時間を設けました。

 

 子どもたちへ最初に46.4℃の最高気温を伝えると「ええー!」と目を見開いて驚いている様子でした。このタイミングでヒントは出していませんが子どもたちからは、
「機械の故障じゃないか」
「息を吹きかけたからだよ」
「お湯の中に入れたんだ」
 など、様々な考えが飛び出してきます。たしかにどれも気温は高くなりそうですが……
「どれもユニークな考えだけど違うんです!」
 そこで少しだけヒントを与えました。
 「1923年の9月1日に『関東大震災』という大地震が東京であった次の日に記録された気温なんだ」
 ここである6年生の男の子から「わかった!」の声が。理由を聞いてみると見事に正解でした。彼の考えはこうです。
 「地震が起こる」→「あちこちで火災が起きる」→「炎で熱くなる」→「気温が高くなる」
 まさしくその通り。最高気温46.4℃が観測された背景には関東大震災による火災があったのです。

 ある事象から次の事象へ、さらに次の事象へ……考えがどんどん派生するとでも言うのでしょうか。彼のような考え方が中学や高校受験に通ずる「柔軟な思考力」や「考える力」だと私は考えています。花まるの小学校低学年クラスでは思考力教材の「なぞぺー」、高学年クラスでは「なぞぺー」の更に高レベルの「Sなぞぺー」そして今回のようなちょっとした雑談などを通して子どもたちの「柔軟な思考力」や「考える力」をぐんぐん伸ばしていきます。ご家庭でもお子さまの「どうして~」の疑問に対して「どうしてだろうね?」や、合っている合っていないは別として「○○なんじゃないかな?」と返すだけでも、考える癖や調べるきっかけになるのではないでしょうか。日常生活の中にこそ思考力を伸ばすヒントが隠されているのかもしれませんね。

 

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