【126】自分で決める
野外体験(サマースクール)に今年も参加してきました。全部で6コースに参加をし、気が付くと肌が真っ黒に。夏を越したなと実感しています。そんな駆け抜けたサマースクール、参加した秘密基地作りの国での出来事です。
1日目の夜、1年生のIくんが就寝時私のところに駆け寄ってきました。「ねぇ。今日はオムツ、はく?」と。Iくんはお泊りごとでは緊張で夜尿があり、宿泊を伴う行事では、緊張からおねしょをすることがあるとお母さんから聞いていました。お母さんより「オムツをはくかどうかは寝る際に本人に聞いてください。本人次第なのでお任せします」と言われていました。「どうする?」私はそう聞くと下を向くIくん。そして、私の方を見て「どうしよう」と訴えかけてきました。話を聞いてみると普段はお母さんが決めているそうで、自分で決めきれず、私に答えを求めていました。それでも、お母さんとの約束を覚えていた私は「リーダーは決められないよ。自分で選んでいいよ。おねしょしても大丈夫。」と伝えました。すると、30秒ほど黙り込むIくん。再び「どうする?」そう聞くと「はかない」そう答えました。たくさん考えて自分で出したIくんの答えです。
2日目の朝、「やっちゃった」と私のところへIくんは来ました。1日目はうまくいかず。すぐに替えの洋服を持ちそっと外で着替えました。その際涙ぐむIくん。「大丈夫だよ。自分で決めることができて本当にえらかったね。」そう声を掛けました。2日目の夜、Iくんに「今日はオムツどうする?」と確認をしました。すると迷わず「はく」と言いました。Iくんが決めたこと、「わかった」そう伝え着替えに行きました。しかし、就寝の直前。Iくんが私のもとに来ました。「やっぱりはきたくない」と。理由を尋ねてみると「頑張るって決めたから」そう答えました。覚悟を決めた表情で訴えかけてきたIくん。私も「わかった。」そう伝え改めて着替えに行きました。しかし、なんだか不安そうなIくん。背中を曲げ、下を向きながら部屋に戻って行ったので「自分で決めたこと!大丈夫だよ」そう声を掛けました。
3日目の朝、見事おねしょをせず乗り切ったIくん。「リーダー、大丈夫だったよ」と朝一で私のところに来て、グータッチ。嬉しさがこみあげてきたのでしょう。Iくんはその場でジャンプをしていました。最終日にはサマースクールでの思い出をリーダーと振り返ります。Iくんはこんなことを言っていました。「いっぱい頑張ったよ。いっぱい!いっぱい!」具体的な言葉ではありせんでしたが、Iくんの表情は言葉では表しきれない達成感に満ち溢れていました。サマースクールをえて何か1つ頑張ったことがある。挑戦をした。それだけでも子どもたちとっては自信になります。例えそれが言葉に表せなかったとしても。
教室でも子どもたちには「自分で決める」という事を伝え続けています。宿題を忘れた時には、「次に忘れないようにどうしたらよいのか」を子どもたちに問います。「絶対にやってくる」や「朝起きたらやる」などどんな些細なことでもいいのです。大事なことは自分で決めること。自分で選択すること。電車のレールと言えばわかりやすいでしょうか。レールを建設するのは子どもたち。人生を歩んでいくレールです。大人が決めるのではなく子どもたちに選択をさせ、建設をしていくこと。それが失敗してもいい。失敗したらまた新しく作り直す。大人は子どもたちの建設に足りないものを足していく。そんな存在だと思っています。その繰り返しがのちの自分のやりたい事、夢へとつながっていくことでしょう。