【123】やらないと気持ち悪い!

 保護者の方からよく話題に上がる、宿題について。「宿題やったの?」ときくと低学年の頃は「まだやってない・・・」と少し青ざめて宿題に取り掛かる姿があります。しかし、高学年になると「今やろうと思っていたのに」、「そう言われたからやる気がなくなった」というようなついつい「いやいやそれは違うでしょ」とつっこみたくなる返答があることもしばしば。耳が痛い言葉をいわれると反抗的な態度を取ってしまう高学年あるあるです。この時期に差し掛かると、「親」対「子」だけでなく、「外の大人」対「子」という関わりが大切になってきます。オンラインの高学年授業では1on1回という子どもが教室長と1対1で話す時間を設けています。

 今年度最初の1on1回では、まずは私たちが子どもたちを知るということを第一に、「今頑張っていること」をテーマに話をしました。「今はこれを頑張っています!」とスラスラと出てくる子もいれば、今は特にないかな〜と言う子もちらほら。共通していたのは、自分が自信を持って頑張っていることを話すときのイキイキとした表情でした。

 6年生のAさん、歴史が好きな女の子です。勢い止まらぬというくらい早口で「歴史が好きだ」という思いを伝えてくれました。すると、「好きなもの」から派生して、初対面の人と仲良くなるための方法の話になりました。彼女は「共通点を持つといい」という方法を聞いたので、共通の好きなものを探してみようと思ったそうです。しかし、Aさんは気がかりなことがありました。それは、「いきなり初対面で『歴史上の好きな人物は誰ですか?』と聞くのは答える人にとっては難しい人もいると思います。だからどんな質問をしたらいいのかがわからないんです。」ということでした。このように話しているなかで生まれた、ちょっとした悩みの深掘りもしています。

 特に印象に残った子が2人いました。まず、4年生のBさん。1年生の時からタブレットを使った暗算学習を行っているそうです。毎日行っているから「やらないと気持ち悪い」という感覚になると教えてくれました。だから「しんどい日でも頑張ってちょっとはやっている」、「やらない日はほとんどないんじゃないかな」と教えてくれました。

 次は5年生のCさん。彼女は去年、バイオリンを頑張っていると教えてくれました。今年も変わらずバイオリンのことを話してくれるかな?と思っていました。しかし話に出てきたのは運動不足の解消という別の話題でした。思わず、「バイオリンのことを話してくれるのかと思った」と伝えると、彼女からの返答は、「それは当たり前のことだから」と頑張っているうちに入っていませんでした。当たり前に毎日触って弾いているから、特に頑張っているとは思わないそうです。むしろすぐに時間が経ってしまうと笑っていました。

 2人に共通していることは、習慣として体に染みついている「やって当たり前」という認識があるということです。他の人から見ると「毎日すごいね、頑張っているね」となるものも本人にとっては何にも苦痛ではないのです。この感覚は習慣化という面においてとても大切だなと感じています。

 習慣を身に着けるために、低学年の宿題として、1日1ページのあさがお・サボテンがあります。初めは新しいことが始まったという環境の変化から「よし、やろう!」という思いがありますが、少し慣れてきたころに「今日はちょっとくらいいいかな?」ということに陥りやすい側面があります。親はそれを受け入れるのではなく、あさがおだけ、もしくはサボテンだけでも毎日机に向かう習慣を身につける、ということを大切にしてほしいです。

 こうして毎日少しずつ積み上げてきた結果はすぐに出てくるものではありません。1か月、2か月、数年かかることもあるかもしれません。しかし、「毎日やらないと気持ちわるい!」と言える頃にはきっと何かしらの結果が出ていることでしょう。「毎日コツコツと」を大切にしていきたいものです。

 

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