【今月のお悩み 小3男子のママより】
ゲームや動画視聴の時間は決めているのに、やめる時間になっても聞かない…
自分の思い通りにいかないと、すぐにイライラ
このままゲームばかりになってしまったらどうしよう…
そんなふうに、心配になってしまうこと、ありますよね。
最近は「ゲームとの付き合い方」に悩まれている方が多いかもしれません。
今回は、精神科医であり、認知行動療法や感情教育の専門家でもある立場から、親子で笑顔になれるヒントをお届けします。
まずは「なぜゲームをしているのかな?」を見つめてみましょう
ただ「楽しいからやっている」のなら、そこまで心配はいらないかもしれません。でも……
「学校でいやなことがあってモヤモヤしている」
「気持ちを言葉にできず、ゲームでごまかしている」
「なんとなく寂しい、つまらない……」
そんな思いを抱えているお子さんもいます。もしかしたら、ゲームが「心の逃げ場」になっているのかもしれません。そして実は…
親にとっても「ゲーム中は静かで助かる〜」という"落ち着き時間"になっていることも。まずは親子で「ゲームの意味」を、そっと見つめ直してみてくださいね。
大切なのは、「ゲームをしていない時間」を楽しくすること!
「ゲームの時間を減らしたい」と思ったとき、意外と忘れがちなのがこのポイントです。
たとえば、
・家族で一緒にごはんを作る
・一緒におやつタイム
・お手伝いをお願いして、たっぷり褒める
・ボードゲームや外遊びで大笑い など
「ゲーム以外にも楽しい時間がある!」と実感できると、自然とゲームの時間は減っていくものです。少しにぎやかでも、そんなひとときこそ、子どもたちの心に残りますよ。
「やめる力」は、練習で身につくスキル!
実は、「やめる」こともスキルなんです。大人だって、好きなドラマ鑑賞を途中でやめるのって大変ですよね(笑)。 だからこそ、お子さんと一緒に「どうすればやめやすくなるか?」を考えてみましょう。
たとえば、
・「18:45になったら一度セーブしよう」
・「次のステージが長そうなら始めないでおこう」など
あらかじめ"やめる流れ"を決めておくと、スムーズに切り替えられるようになります。
イライラしたときは、「気持ちを言葉に」してみましょう
うまくいかないときに怒ってしまうことは、誰にでもありますよね。そんなときは、まずお子さんの気持ちに寄り添ってみてください。
「イライラしたんだね」
「それは悔しかったね」
気持ちを言葉にすると、脳の“前頭葉”が働いて、感情が少しずつ落ち着いてきます。そのうえで「どんな気持ちだった?」と聞いてあげると、自分の感情を整理する力も育っていきますよ。
つい言いがちな “脅し言葉”は、ぐっとガマン!
「そんなにゲームばかりしていたらバカになるよ!」
「このままだと受験に落ちるよ!」
……つい言いたくなってしまうこと、ありますよね。
でもここはグッとこらえて、ポジティブな未来を伝えてみてください。
「勉強の時間が増えると、わかることも増えて楽しくなるかも!」
「体を鍛えたら、サッカーがもっと上手になるよ!」
「キャンプに行ったら、めちゃくちゃ楽しいよね!」
“ゲームをしていない時間”がワクワクする未来につながっている、そんな言葉を届けてみましょう。
最後に
ゲームは、いまの子どもたちにとっては“遊びの一部”であり、時には"心の避難所"にもなります。だからこそ、「ゲームをしていない時間」を、家族で育てる宝物にしていけたら素敵ですね。焦らず、怒らず、笑顔で少しずつ。お子さんの「心のエネルギー」が満たされていくようなかかわりを、親子でゆっくり育てていきましょう。
蟹江 絢子(かにえ あやこ)
東京の大学病院にて児童精神科医として臨床に携わる傍ら、妊産婦やアスリート、神経発達症、精神疾患を対象とした認知行動療法の研究を行う。VRやアプリを活用した認知行動療法のプロダクト開発にも取り組み、精神医学・心理学の啓蒙活動を一般の方や教育業界向けに展開。二児の母としての経験も活かし、親としての目線で日々の生活や子育てに役立つ情報を発信中。
※花まるだより2025年6月号掲載