特に予定がない休みの日は、家のなかでゴロゴロしてばかり。外遊びをしたり、勉強したり、もう少し有意義な時間を過ごしてほしいのに!
うちは、予定がある日ものんびり。余裕をもって準備してほしいのに、全然その気がなくてイライラしちゃう!
\パッションがこたえます!/
「大人と子どもの時間の感覚は違うのです! まずは 子どもの時間の感覚”をのぞいてみましょう」
保護者から寄せられる相談で多いものの一つに「子どもたちの時間の使い方のルーズさ」があります。おもしろいことに、スケジュールが詰まっていると時間の使い方の問題は起きにくいのですが、自由に使える時間が多いと途端にルーズになりがちです。それに対して、保護者としては「それでいいのか」と不安になることでしょう。
私自身、子どもが生まれた頃は「早くしなさい」と言わない子育てを目指していたはずなのに、だらだらしているわが子を見ているとイライラしてつい言ってしまいます。先日、朝、「早くしなさい」を夫婦で何回言っているか数えたら、学校に出発するまでに23回も言っていました。
共働き世帯が増えた昨今、帰宅してから子どもを寝かしつけるまでの間は、かなりあわただしく過ごされているご家庭が多いのではないかと思います。限られた時間のなかでテキパキと動いてほしいと、親としては願うものです。
それに対して、幼児期の子どもたちは未来を先読みして行動するということがまだ上手にできません。さまざまな経験や失敗を通して、少しずつ時間通りに行動することの重要性を学んでいきます。
たとえば、友達との待ち合わせに遅刻したとき。約束を守って時間通りに到着しているのに無駄な時間を過ごさなければいけない友達が、どういう気持ちで待っているのか。待たせた相手から厳しく叱責されて、「時間を守らなければ」という気づきを得られることもあるでしょう。そういうストーリーの当事者になったときにはじめて「時間」について考えられるようになるのです。そこから、「いつまでになにを準備しておけばいいのか」と逆算の思考が生まれ、工夫できるようになっていきます。
さて、幼児期の子どもの行動を観察していると、意味のない時間を過ごしているように見えることがたくさんあるでしょう。やるべきことをしっかり終えたあとの自由な時間だとしても、何かに夢中になって遊んでいる姿を見ると、「もっと意味のある時間の使い方をしてほしい」と思うのは親の性です。
では、親として思う、意味のある時間というのは何でしょうか。
本を読むこと? ドリルを進めること? おそらく「自分の身になり役に立つスキルを習得する時間」を意味のある時間として設定しがちです。
しかし、実は何かに夢中になったり没頭したりしている時間にこそ幼児期に伸びる、重要な力が隠されているのです。
それが「集中力」です。
ただ「なにか」に没頭し、時間を費やしているかというところが極めて重要なポイントです。
集中力には良いものと悪いものがあるという視点を持てると、子どもたちの過ごし方を見る目が変わってきます。
少し詳しく説明しましょう。子どもたちがなにかに集中しているときには多くの場合「対象物」があるはずです。その対象物から強い刺激がバンバン出され、黙っていても「集中させられてしまう」状態が悪いもの。一方で、対象物から刺激はほとんど出ておらず、対象物に対して自ら集中力を高めるような没頭をしているときは良質な集中力を磨いている時間です。
濃い味つけの料理を食べ続けていると薄味の食べ物を味わいにくくなりますよね。集中力においても同様のことが起こっているのです。
つまり、限りある時間をより効果的に、効率的に使えるようになるためには、良質な集中力と切り離せないのです。仕事ができる人の行動をよく見ていると、圧倒的な集中力で時間をぎゅっと凝縮して片づけてしまい、余暇を取ることに長けていることがよくわかります。
段取りを立てる未来への予測は、予定やタスクが増えるとおのずと身についていきます。時期としては忙しくなる高学年期頃からでしょう。
ただ、この質の良い集中力は、幼児期の日常の、特に遊びのなかで育まれるということを心に留めていただけると、子どもたちの時間の使い方を少しだけ寛容に見られるようになると思います。
花まる学習会 相澤 樹
\パッションのおすすめ!/
幼児期のうちは「やる気を出す」までの準備時間がすごくかかるもの。それを待てなくて大人は瞬間的にイラッとしてしまいがちです。「子どもたちのやる気を引き出す」ことを大事にしている花まる学習会では、「やる気に満ちて自分でやりたくなっちゃう」ように導くのが私たちの仕事ですから、「やる気」をベースにこの本を書きました。
🌸『花まる学習会式 12才までに身につけたい時間の使い方』
著者:花まる学習会
出版社:日本能率協会マネジメントセンター
本体価格:1,100円(税込)
https://www.amazon.co.jp/dp/4820726463
お互いに気持ちよく過ごすために親子で相互理解を!

\時間を上手に使える人は、こんな人!/
①「やるべきことをいつまでに終わらせるのか」 という計画を最初にしっかり立てる
②そのために「いまなにをすべきか」がわかる
③「いまやる!」と決めたことを集中してやりきる
※花まるだより2025年5月号掲載