【67】ヒーロー誕生!
年度も半分が過ぎ、初年度と比べ、子どもたちのできるようになったことも増えました。ちょっとしたしぐさ、行動から子どもたちの成長が垣間見えます。5月ごろまではセロハンテープを上手く扱えなかった年中さんがいつのまにか自分たちでテープカッターを使えるようになったことも成長の一歩です。
とある年中クラスの授業前、子どもたちはいつも通り授業の準備に取り掛かっている真っ最中。Mちゃんの筆箱の中には、以前に拾ってきたどんぐりが大切に保管されています。筆箱からいつもどんぐりのコロコロと転がる音が聞こえてきます。いつもはこの大切などんぐりが顔出すことはありません。しかし、その日は違いました。Mちゃんは筆箱からどんぐりを取り出し、おもむろに床に置きました。その瞬間、バキッ!自分の片足でどんぐりを勢いよく踏み潰したのです。
Mちゃんはどんぐりが嫌いになってしまったのでしょうか?いいえ、その答えはノーです。子どもというのは急に何かを思い立って行動に移します。Mちゃんの場合は、どんぐりの中はどうなっているのかなという興味からその行動に出ました。中からは木の実のようなものが出てきました。私も気になり、よく見ると木の実がきれいに真っ二つに割れていました。その割れた小さな木の実の中に薄黄色の丸長いものが。なんだろうと十数秒まじまじと観察していると、その黄色い物体がモゾっと動いたのです。小さな小さな幼虫でした。Mちゃんはびっくり仰天「いやー!!」 自分が大事にしていたどんぐりから虫が出てくるなんて思ってもいなかったでしょう。Mちゃんは驚きと恐怖のあまり動けなくなってしまいました。そんな時、隣で見ていたA君がさっと虫の入ったどんぐりを素手で拾い、ゴミ箱にポイッ。A君は生きもの全般触ることができるので、全く動じずにやってのけたのです。困っているMちゃんに手を差し伸べたAくんはまさに救世主。MちゃんのAくんを見る眼差しはキラキラと光っていました。ここに小さなヒーローが誕生です!
最近のA君は壁にぶち当たっているところでした。何か1つの問題につまずいてしまうとそこから立ち直れず、自分の思ったようにいかないことに悔しい気持ちが大きくなる一方でした。しかし、今回の出来事がきっかけにみんなの注目の的となったA君は少しその壁から脱却できたように見えました。そしてA君はこのことをお家で照れ隠しをしつつ、嬉しそうに話していたそうです。自分が活躍できたこと、それがA君自身感じられたのだと思います。花まるでは、勉強に限らず、たくさんの成功体験を積み重ね、子どもたちの自己肯定感を育んでまいります。子どもたちに起こる出来事は、たとえどんな小さなことでも大冒険に変わっていくのです。
それは高学年以降も同様です。 ある教室の大会でのこと、6年生のK君はいつもこんなことを聞いてきます。「Y先輩は今日来るの?」Yとは2年前に花まるを卒業した男の子でした。K君が4年生の時、厳しくそして時には優しく接してくれたのがY君でした。K君にとって憧れの存在だったのです。K君は6年生になった今でもY君がヒーローなのです。異学年交流ができる花まるだからこそ、こういった関係も築いていくことができるのです。
私たちは日々、子どもたちをサポートしていますが、子ども同士でも助け合いが自然とできる場を提供させて参ります。