【54】言葉にする
年長クラスで難易度の高い問題がでてくるときがありました。内容は畳を対称的に敷いていくというもの。同じ形を作ってはいけないルールで左右対称になるよう形を作っていきます。Hくんは隣のTくんに向かって「おなじかたち、つくったらいけないからね!」とTくんと同じ形を作ってはいけないというよりレベルの高いルール設定をし、取り組んでいました。授業後、Hくんはお母さんに「楽しかった?」と聞かれると「たのしかったよ!すこしむずかしかったけどね!」と言っていたそうです。Hくんの中で確実に自信が育まれているなと感じました。
花まる学習会の授業では子どもたちが問題をクリアした時にバンザイのようなポーズをとりながら「できたー!」と大きく発声しています。年中さん年長さんは全員で「できたー!」と大きく発声しています。60分の授業内で、10回ほど子どもたち全員で「できたー!」をしています。
ある日の年長クラスの授業前。子どもたちはめいろに取り組んでいました。授業前なので全員で「できたー!」は行わずゴールした子からチームの先生に花まるをもらっていたのですが、Hくんが「できたー!やらないの?」と聞いてきました。それでHくんと「できたー!」を2人で行い、授業がスタート。Hくんは1人で取り組むページでも問題をクリアし花まるをたくさんもらっていました。「Hくん、ここできたから8ページいこっか!」「先生、できたー!忘れてるよ!」またHくんと一緒に2人で「できたー!」をしました。
問題をクリアしたときに1人でも「できたー!」をしたいと感じているHくんの姿がとてもすてきだなと思いました。なぜかというと、1人でも「できたー!」をしたくなるほどHくんの中で問題をクリアした時に達成感を感じられていたからです。授業中、全員で「できたー!」をすると教室中に大きな声が響き渡っています。Hくんを見ていると、できたときに「できた」と言葉にすることは大切だなと思いました。言葉にすることで自分が何を感じているのか、何が起きているのかをより認識できます。Hくんは普段みんなと一緒に「できたー!」をしていたからこそ、問題をクリアした時にできたということをしっかり認識できるようになったのだと思います。だからみんなで「できたー!」をしない場面でも、問題をクリアできたことの達成感をしっかり感じとり「できたー!やらないの?」と言っていたのだと思います。できたときに「できた!」と言葉にしていたことがHくんの自信がついた秘密だったのかもしれません。
できたときに言葉にして子どもたちに伝えることはもちろんですが、子どもたちのいいところも授業中たくさん言葉にして伝えてまいります。プラスの声かけで子どもたちが自信をつけられますように。