【47】難しい?
いつも仲よし2人組の2年生、RちゃんとAちゃん。毎回、肘がぶつかるくらいの近さで問題を解いているのですが、RちゃんがAちゃんのことをこの時はそっちのけで、黙々と鉛筆を動かしていました。何の問題を解いているのかと思い覗き込むと、立体図形を描いていました。Rちゃんが取り組んでいたのは、低学年クラスで扱っている思考力教材「なぞぺー」。「平面図形」「論理」「試行錯誤」「発見」、そして立体図形が含まれる「空間認識」の5分野があります。その日は2年生全員、立方体が3つ繋がっている形(低学年で使用する教具キューブキューブのA)を描いていました。
まずは点線の立体図形を6個なぞり、そのあとは一から自分で描いていきます。それを20個ほどなぞぺーに描いたRちゃんは、そのページをじっと見つめていました。もうなぞぺーの問題は終わっています。最後のページは余白のスペースも残っていません。でも、どこか満足していない様子でした。
そこで私から「自分が持っている他のキューブの形も描いてみたら?」と提案をすると、目を大きく見開いて、勢いよく鞄からキューブを取り出しました。まっさらなスペースがもうないので、どこに描くのかとRちゃんを見ていると、なんと、なぞぺーの裏表紙に写し始めたのです。Rちゃんが夢中なっている姿を見て、隣に座っていたAちゃんも「何々?何してるのー?私もやる!」と一緒にキューブを描くことに。あっという間に、2人のなぞぺーの裏表紙は立体図形で埋め尽くされました。
立体図形は、ただ描いてみようと言われても、どこから手を付けていいのかわからない子が多いと思います。私自身がそうでした。しかし、RちゃんとAちゃんは、立体的な図形をすらすらと描くことができていました。では、どうしてそんなことができたと思いますか?
2人が長い時間をかけて練習をした、というわけではありません。もちろん、見よう見まねで描くことも初めはできませんでした。
ではなぜ、立体図形を描くことができるようになったのか…それには花まるならではの仕掛けがありました。
四角を書いて♪ 斜め 斜め なーなめ♪
結んで 結んで 立方体♪
実は、このような立方体の絵描き歌があるのです! この歌は立方体の歌ですが、これを応用していくと、他の立体図形も描くことができるのです。どうですか?これなら難しい…と感じることなく、描けそう!と思いませんか?
私の教室では、年長クラスでもスペシャル問題として、この歌を一緒に歌い、立方体を描いていきます。さすが、耳から入った音を声に出して覚えることが得意な子どもたち。1度歌った絵描き歌を次の週には覚え、「もうわかるよ!」と歌っています。
そんな立方体のように、授業の中では一般的に難しそうと思われてしまうものも、わくわくと楽しめるように伝えていきたいと考えています。花まる独自の伝え方、渡し方で子どもたちのやる気、意欲を引き出してまいります。もちろん、ご家庭での困りごとなどがありましたら、何なりとご相談ください!一緒に楽しくできる方法を考えさせていただければと思います。