教育哲学

【Rinコラム】『褒める、ことの落とし穴?』2020年7月

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率先して掃除をしてくれた、友達を手伝ってくれた…
子どもがそんな“好ましい行動“をしたとき、「いい子だね」と大人が子どもに褒めるのは、当たり前のことだと思われています。
確かに、褒められると子どもたちは嬉しそうですし、また同じように行動してくれるかもしれません。
褒めることの、何がいけないのでしょう?

いつも片付けのときに率先して取り組んでいる子を「いい子だね」と褒めていたら、たまたま褒めなかったときに、「せんせい、私いい子でしょう?」と褒められることを求めてくるようになります。
そういう子は、足元にごみが落ちているとき、周りに褒めてくれる人がいるかどうかで、拾うかどうかを決めるようになります。
大人からの評価に一喜一憂し、褒められる自分であろうとするがあまり、テストでカンニングをするかもしれません。

自分が本当にやりたいことより、周りから認められるかどうかを基準にして、将来の進路を選んでしまうかもしれない。
つまり、他人の評価ばかりを気にして行動するようになってしまうのです。
それは、自由な人生とはかけ離れたものです。

「大人のための6つのやくそく※」にある、「3.上手だね、を使わず認める」を読んだ方から、「上手だねって、いつも言っちゃっていました!」と、よく言われます。
これをお子さんに意識してやってみた方は、実感されると思うのですが…「褒めない」ことはすごく難しいです。
「上手だね!」といった評価をともなう褒め言葉は、気を抜くとすぐ口に出てしまうものだからです。

たとえば私だったら、片づけのときは、「きれいになったから、先生嬉しいよ」。
友達にものを貸してくれたときは、「優しくしてくれて、ありがとう」。
仲間に伝えるときも、「~くんが~してくれたから、助かりました」と、その子の“貢献“に対して、感謝を伝えます。
「ダメな子」でも「よい子」でもなく、私自身の気持ちを軸にしてみる。
それは何かをしてほしいときも同じで、「ここに荷物が置かれていると、先生が通るとき困るから、動かしてほしいけどいいですか?」と聞くのです。
「~しなさい」という命令ではなく、お願いです。

教える人、教えられる人の前に、大人と子どもを超えた、対等なひとりの人間同士として接しているだろうか、相手の人格を尊重しているだろうか…。
“評価“の言葉ではなく、あなた自身が何を感じたのかを基準に接していく。
子どもたちを褒めるときには、少し意識してみてくださいね。

子どもたちが、誰のものでもない自分の人生を自分で決めていく人であれますように。

井岡由実(Rin)


著者|井岡由実(RIN)

井岡由実 国内外での創作・音楽活動や展示を続けながら、 「芸術を通した感性の育成」をテーマに「ARTのとびら」を主宰。教育×ARTの交わるところを世の中に発信し続けている。著書に『こころと頭を同時に伸ばすAI時代の子育て』 (実務教育出版)ほか。

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