【松島コラム 】『答えのない時代を生きる』 2020年3月

【松島コラム 】『答えのない時代を生きる』 2020年3月

~『現在過去未来』№82~

今日は3月11日です。
政府が全国の学校に対して休校の要請を出した2月27日から、教育関係者は大混乱に陥りました。
安倍総理の会見後、社内で緊急会議を開き、二週間の休校と春期講習の中止をその場で決断しました。
春期講習の中止については、先行きが見えない中、子どもたちや保護者の皆様、そして社員や従業員のことなどすべてを考慮し、余裕を持って柔軟に対応するための時間をつくることを優先しました。
休校中でも子どもたちに提供できることはありますし、徐々に収束していく中で取り戻していくことは十分に可能です。
一時的にはご心配をおかけしますが、子どもたちにとって不利益にならないようしっかりとフォローしてまいります。
ご安心ください。

今回、4年生以上の方を対象に「ZOOM自学室」というものを開室いたしました。
ご存知のように、スクールFCの指導理念の一つは、「自ら進んで学ぶ子を育てる」ことです。
その理念のもとに、日ごろから自学室の利用を推奨していますし、「自学タイム」も重要な時間だと考えています。
そうしたFCらしい学びを止めないためにできることはないだろうか。
いくつかの選択肢の中から、ZOOMというWEBコミュニケーションツール(スカイプのように、WEB上で会話やメッセージのやり取りができるもの)を使うことにしました。
私自身、ZOOMを使って会議などをしていましたから、イメージは持てました。
ただせっかく作るなら実際の自学室と同等の環境を作りたい。
そういう思いから、ZOOMの機能を徹底的に調べ、多くの社員の協力を得て一気にマニュアルを完成させました。
実際に開室するまでに3日ほどかかってしまいましたが、開室初日から参加してくれる子どもたちの姿を見て、本当にうれしく思いました。
こちら側の想定が足りず入室した子どもにすぐに指示を出せない場面もありましたが、そんなことはお構いなく、すぐにテキストとノートを広げ、自学を始めてくれる子どもたちの様子に、さすがFCの生徒だなと感動しました。
新聞社からの取材もありました。
このほかにも、一部のコース向けの動画配信やシグマTECHによるオンライン授業など、様々な取り組みが動いています。
そして、子どもたち、保護者の皆様の悩みや不安をお聞きするために、ご家庭への電話かけも行っています。
私たちの使命は、成績を上げる、志望校に合格させることだけではありません。
いざというときに皆様の気持ちに寄り添い、力を合わせて子どもたちを支えていくことが、何よりも大切な使命であると思っております。

ここからは保護者の皆様へのお願いとなります。
今後スクールFCでは、今回のような不測の事態に対応するため、インターネットを使用した学習支援の仕組みを構築していきたいと考えています。

また平時では、これまで通り対面授業が中心となりますが、オンラインのメリットを生かした生徒指導や動画配信、保護者の皆様とのコミュニケーションの手段として、ICTの活用を進めていく予定です。
そこで、各ご家庭におかれましても、そうしたICT活用に対応した環境整備にご協力いただけると幸いです。
学習支援においては、光回線などの高速なインターネット回線とカメラ・マイクを装備したパソコンがあればよいでしょう。
新たに購入をお考えの際には、教育関連のソフトに強いWindows搭載のもので、画面に書き込みができるタッチスクリーンがついているものが理想です。
タブレットでも対応できますが、オンライン授業を受ける際はデスクトップ型か画面の大きいノート型をお奨めします。
ただすでにご家庭で使い慣れたパソコンなどをお持ちでしたら、現段階で買い替える必要はございません。
また、今回「ZOOM自学室」で使用しました「ZOOM Cloud Meetings」という無料アプリを保護者の方が使用できるようになっていると、今回のような非常時の連絡手段としても役に立ちます。
ZOOMはスマートフォンでも利用可能です。
もちろん、お子様のパソコン、スマートフォンなどの利用につきましては、ご家庭の方針が最優先です。
あくまでもお願いとしてご理解ください。

現代の子どもたちは正解のない時代を生きる。
だからこそ教育を変える必要があると言われてきました。
新学習指導要領では、学力の3要素を、「①知識・技能、②思考力・判断力・表現力、③主体性・多様性・協働性」としています。
答えのない時代はもう未来のことではありません。
私たち大人にも、「正しく知ること。自分で考えて決めること。誰かを責めるのではなく、まずは相手を思いやること。知恵を出し合い、助け合い、前向きな姿を子どもたちに見せること」が求められています。

東日本大震災のとき、街からは灯りが消えました。
しかし間もなくして昼間のような夜の明るさ、必要もないと思われるところで煌々と輝くネオンや電灯の数々。
今回のことは私たちに何を問いかけているのでしょうか。

一刻も早く世の中が平穏な日常を取り戻すことを心より願っております。

スクールFC代表 松島 伸浩
 


著者|松島 伸浩

松島 伸浩 1963年生まれ、群馬県みどり市出身。現在、スクールFC代表兼花まるグループ常務取締役。教員一家に育つも、私教育の世界に飛び込み、大手進学塾で経営幹部として活躍。36歳で自塾を立ち上げ、個人、組織の両面から、「社会に出てから必要とされる『生きる力』を受験学習を通して鍛える方法はないか」を模索する。その後、花まる学習会創立時からの旧知であった高濱正伸と再会し、花まるグループに入社。教務部長、事業部長を経て現職。のべ10,000件以上の受験相談や教育相談の実績は、保護者からの絶大な支持を得ている。現在も花まる学習会やスクールFCの現場で活躍中である。

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