2024年度の花まるサマースクール、現場からのレポートをお届けします!
今回は、「秘密基地作りの国」のコースを引率した「バラ」のレポートです。
それが次第に全員の合言葉になる、そんな3泊4日の秘密基地活動でした。
初日は、一人ひとりの特性が色濃く出ました。 「スタート!」の合図で、どこに基地を作ろうかと広い森林のなかで場所探しをする子、基地を作るべく木の枝や草・葉をかき集める子、土台となるロープを張る子…。その一方で、気づけば虫探しや穴掘り、枝を剣に見立てて木と戦う、などの遊びに熱中している子もいました。
その結果、秘密基地作りが順調に進むチームもあれば、なかなか形が見えてこないチームも。 また、順調に進んでいるように見えても実は半数くらいの子が基地作りをしていて、もう半数くらいの子は違うことをしているようなチームもありました。
こと初日にかんして言えば、決して悪い状態ではありません。 「うわぁ! こんな森、見たことがない!」と思わず感動の声をあげた子がいたように、なかなか広い森林で自由に遊ぶことができる機会はなく、本能のままに動きたくなるものです。滅多にない機会なのですから。このようになるのは想定通り。ゆえに初日は子どもたちの行動を特に制限することはしませんでした。
それを踏まえて2日目、スタート前に子どもたちへ「チームで基地を完成させられるように、自分に何ができるか考えて行動してみよう」という話をしました。
自分一人、好き勝手にやるものではない。チームのみんなで一つのことに向かう。そのチームの一員として自分に何ができるのか。
ありとあらゆる行事が中止になった数年前のコロナ禍。幼稚園や保育園、小学校などの教育現場でもそうで、何かをみんなで一緒にやるという機会は消滅したと言っていいぐらいでした。多くの人がかかわり合う、頭を突き合わせて一緒に何かを考える、元来人はそのような多様な人間関係のなかでたくましく成長していくものだと思います。そのなかで「自分には何ができるだろうか?」と考えたり自分のことをより知ることができたりします。
今回の秘密基地活動を通して、子どもたちに感じてほしかったことがこれでした。自分一人で生きているわけではない。大人子ども関係なく、大なり小なりいつでもどこにでもコミュニティがあり、常に何かに属するのが人間社会。そのかかわり合いの中に自分がいる。
秘密基地の完成というチームの目標に対して、自分は何ができるか、自分の役割を見つけて動くこと。それを伝えてからの子どもたちの意識、行動には明らかな変化がありました。「基地を完成させる」明確な共通目標として認識され、そこに向かって声をかけ合う光景はとても美しかったです。また、3日目には自分で考えることが大事としつつも、困っている子がいれば手を差し伸べる。それがチームであるということも話しました。
単なる基地作りで終わることなく、今後の人生の糧となるようなものを得てもらえたらと、またいまは意味がわからなくても何年後かにこの意味が届いたらと思っています。
未来につながる野外体験。 ぜひ次回もご参加いただけますと幸いです。
改めまして、花まるサマースクールへのご参加、誠にありがとうございました。
2024年 夏
花まる学習会 バラ/榊原悠司
榊原悠司(さかきばらゆうし)/バラ
花まる学習会(東京東ブロック ブロック長)
🌳花まる野外体験公式サイト
https://hanamaruyagai.jp/