伝記

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【おはなしのキッチン❷】『トムは真夜中の庭で』平沼純 2022年6月

 夜のしずけさが、そのなかになにかはらんでいるように思われるのだ。邸宅ぜんたいが息をころしているように思われ、くらやみがトムにこう問いつめているように思われるのだ。―おいでよ、トム。大時計が十三時をうったよ。きみは、いったいどうするつもりな […]

【読書の旅コラム⓭】『子どもの本で取り戻す「神秘的時間」』平沼純 2022年3月

 子どもたちの何気ないつぶやきの数々を収めた、『あのね 子どものつぶやき』と続刊『ママ、あのね。子どものつぶやき』(ともに朝日新聞社編)。子どもたちの思わずくすっと笑ってしまうような意外性のある言葉、他愛もない言葉が多く紹介されている、実に […]

【読書の旅コラム⓬】『読み聞かせは自然な声で』平沼純 2022年2月

 図書館や書店で行われる読み聞かせのイベントに行ってみると、キャラクターごとに声音を大きく変えたり、役者やアニメの声優のように、実に情感たっぷりに語ったりする方を見かけます。なかには、指人形やパペットなどで子どもの興味を引いたり、大げさな動 […]

【読書の旅コラム⓫】『読み聞かせはなぜ大切なの?』平沼純 2022年1月

 私はよく、小学校高学年の中学受験コースの授業でも絵本の読み聞かせを行うことがあります。  たとえば、五味太郎さんによる『言葉図鑑』シリーズは、第1巻の「うごきのことば」(動詞)にはじまり、「かざることば」(形容詞や形容動詞)、「なまえのこ […]

【読書の旅コラム❿】『ファンタジーで力強く生きる視点を得る』平沼純 2021年12月

 以前、講演会の直後にひとりのお父さんが質問に来ました。 「うちの娘は、よくファンタジーを読んでいる。楽しんでいるようだが、そんなものばかり読んでいたら、現実に向きあえなくなるのではないか? 将来、現実逃避の癖が身についてしまうのではないか […]

【読書の旅コラム❾】『読むたびに発見がある本を』平沼純 2021年11月

 子どもは、一度気に入った本が見つかれば何度でも読みたがります。  「あの本もう一回読んで!」と頼んできたり、同じ本を何度も図書館から借りてきてすり切れるまで読んでいたりということは、しばしばあります。  そんなとき、「もうそろそろ別の本を […]

【読書の旅コラム❽】『「泣ける話」を押しつけないで』平沼純 2021年10月

 以前、ある教育雑誌のインタビューで小学生にすすめる本を紹介した際、「子どもに命の大切さを教えられる本をお願いします。できれば、感動的な泣けるタイプの話で―――」と言われたことがありました。  正直なところ、この言葉にはかなり違和感を覚えま […]

【読書の旅コラム❼】『読書と実体験の往復が大切』平沼純 2021年9月

 「うちの子、小さい頃から車とか電車が大好きだったんです。それで、『ずかん・じどうしゃ』とか『はたらくじどうしゃ』なんかはもうすり切れるまで読んでいて―――。道を歩いていて近くを車が通ると、指をさして大喜びで叫んでましたね」  いまでも車や […]

【読書の旅コラム❻】『子どもの本で「グルーミング」の時間を』平沼純 2021年7月

 昨年からの世界的なコロナ禍以降、私たちの生活はあらゆる面で大きく様変わりしてしまいました。しかしそれと同時に、家の中で家族と過ごす時間も増え、「自分にとって家とは何か」「子どもと過ごす時間はどうあるべきか」など、少し立ち止まって考えるよう […]

【読書の旅コラム❺】『考えぬかれた本こそが「良い本」』平沼純 2021年6月

 子どもたちのために本をつくるときにこそ、なににもまして、洗練された美意識と最高の技術と入念な心配りが必要とされる。残念ながら、このことはこれまでなおざりにされてきた。まるで、子どもにはつまらないガラクタもので充分だとでもいうように。なんと […]