【H11】アウトプットのための
小学生クラスで行った思考実験大会のゲームの1つに、「名画かるた」というものがありました。おもてには名画が印刷されており、裏には作者名と作品名が書いてあります。作品名を聞いて、作品そのものをイメージしてかるたをとっていく、というゲームです。
ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」を見た3年生の男の子が「サイゼリヤにあるやつだ!」と嬉しそうに叫びました。「そうそう、ボッティチェリってイタリアの人なんだけど、サイゼリヤってイタリア料理のお店だから、きっと飾ってあるんだろうね。実は先生、この絵の本物を見たことがあります。思ったより大きくて、色が鮮やかで、とても迫力があったよ。」と私が言うと、子どもたちからは「いいなあ」という声があがりました。
実はこのかるた、白黒で印刷されていました。最後に、パソコンの画面上ではありますが、カラーのものを見せました。途端に、画面の前に集まってきた子どもたち。さながらちょっとした美術館のようでした。目を輝かせて「うわぁ!」「こんなにきれいだったんだあ」と食い入るように見つめていました。
思っていたより大きかったとか、思っていたのと違ったという経験は、何のイメージももたないまっさらな状態でそのものに触れるときよりも、心の動きが大きくて強いのかもしれない、と子どもたちを見ていて感じました。
思考実験大会からしばらくして、たまたま、弊社代表の高濱と社員数人で話す機会がありました。ざっくばらんに雑談をしていたのですが、「○○という映画を子どもの頃によく見ていて…」とある社員が話したときに、「え?鉄球?」と高濱が聞き返しました。「それどんな話ですか!」とみんなで笑っていたら、「今から1人ずつ話をつないでいって『鉄球』というストーリーを作ってみよう!」と高濱が言ったのです。これはきっと笑わせたもの勝ちになるだろう、と正直とても焦りました。生まれてこの方「真面目だよね」と言われ続けてきた私。笑わせることができるのでしょうか。
さあ困ったぞ、と思いましたがゲームは始まってしまいました。どんどん話が進んでいきます。学園もので主人公は女子高生、という設定になっていました。私の番が来てしまいました。どうしようか…学園ものならイケメン生徒会長でも登場させてしまえ!と思いそれをそのまま発表したところ、「そうきたか!」と大盛り上がり。破れかぶれでひねり出したストーリーでしたが、かなりほっとしました。
私は本だけでなく漫画も好きで今でも結構読むのですが、「あるあるネタ」といいますか、定石みたいなものが蓄積されていたようです。発想力を得るためにどうしたらよいのかと悩んだこともあったのですが、発想力はインプットの蓄積によって生まれるものなのかもしれません。型を知らなければ「型破り」なことはできないように、まずはありとあらゆるものを知ることが最初の一歩になりそうです。
例えば算数の文章題を読んで、答えはわかったけれど式にできない。伝えたいことはあるけれど、それに当てはまる言葉がみつからない。なぞぺーやSなぞぺーで、どこから手をつければいいかわからない。アウトプットに困っている様子を見ると、イメージができているか、だけでなくインプットができているかな、と思うようになりました。
アウトプットするためには、体験や知識という形でインプットされていることが必要で、そのインプットがイメージにつながり(引き出しにしまったものをあけて探していく感じでしょうか)、最終的にアウトプットができるのでしょう。
場合によっては、「名画かるた」のように、よくわからないけれどとりあえずイメージしてみて、それが知識につながったからこそより強く印象に刻まれる、ということもあるでしょう。
ついついアウトプットしたものばかりを見てしまいがちですが、正しくインプットできているか、イメージができているか子どもたちの思考を探ってみつつ、たくさんの種まきをしていきたいと思います。