【Rinコラム】『子どもの感性を育てるには ~「上手だね」は使わない~』2019年8月

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子どもたちが生きている世界では、感覚そのものが成長のための栄養です。

置かれた環境や、接する大人たちから放たれることばを、(特に7歳までは)何も判断せずすべてを吸収していく。

経験し、感じたことすべてから学んでいるからこそ、「共感=感性の共有」をたくさんする時期と言えるでしょう。

果たして、「感じるこころ=感性」を育てることができる幼児期に、大人ができることとは何でしょうか。

そして、感性を育てることができるのは、子ども時代だけなのでしょうか?


Atelier for KIDsで子どもたちと関わるスタッフたちは、クラスが始まる前、とても緊張しています(それはもちろん、これから始まる子どもたちとの創作の時間に、期待と興奮がいりまじった良い意味での緊張と言えます)。

全員が、子どもと関わること以前に、自ら芸術の分野に身を置いている人ばかりです。

にもかかわらず緊張をするのには、わけがあります。


教育の目的は、人格形成=こころの教育であり、内なる可能性を引き出してあげることです。

それには、我々大人の感性が問われ続けます。


特に創作の現場では、制作物を見て、「上手だね」という安易な言葉を発することは、誰にでもできることです。

しかしAtelier for KIDsでは、全身全霊で自分の感性のアンテナを使い、「私は、どう感じたか」ということをことばにし続けていくことが、私たち大人の使命だと位置づけているのです。


それは、感じるこころを育てようと思ったときにいちばん大切なのは、関わる我々大人の感性だからです。

そして、こころは言葉によって伝えられていくものです。

ことばがいつも先にあり、ことばに乗っかって伝わっていく大人のこころや人格が、子どもたちのこころを作っていくのです。


自分の感動を子どもに伝えられること、素直に声に出すことができるように自分の感情を認め、心を動かしていくことで、大人でも、自らの感性を磨き続けることができるのです。


一度でもこの現場に身を置くと気がつき、怖くなります。

自分の感じるこころのアンテナだけがモノを言うこの時間、私は子どもたちの前に立ち、意味のある仕事ができるのだろうか、と。

大人が、自分自身と向き合い、深く対話を始める瞬間です。


このことが、この仕事の最も美しい部分だと思うのですが、感性は子どもと共にあるからこそ、より高めることができるのです。

自分を信じ、より感受性を高め、よりクリエイティブに、いつでもおもしろがりながら、自分の内面を成長させ、学びをやめない。


正解のない世界で、芸術家のこころで。

教育はARTであり、子育てもまたARTなのです。

お母さん、今、あなたの感じるこころを使っていますか?
 


井岡 由実(Rin)


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【ARTのとびら とは?】

2001年、花まる学習会がまだ小さな塾だったころ、教室で教える傍ら、児童精神科医の故稲垣卓先生とともに、不登校の子どもたちとその家族を支援する相談室Saliを立ち上げました。

家族でのカウンセリングのほか、絵画療法、遊戯療法、箱庭などを用いて子どもたちとセッションを続けます。

ただ聴くだけでなく、一緒に何かを作りながら、内なる対話を通して、子どもたちは疑似的に心の葛藤を体現していきました。描いたり創ったりすることが、彼らの内面を表現することを手助けし、確実に何かを浄化し続けているのだと気がついたのは、このときです。

「Atelier for KIDs」は、そんな想いから出発した、創作を通して自分を表現する、子どもたちに計り知れないパワーを与える創作ワークショップです。

RELLO 由実(Rin)

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Rin 井岡 由実(いおか ゆみ)

Rin 井岡 由実(いおか ゆみ)

2004年、花まる学習会取締役に就任。 2007年文京区根津にHanamaru Groupの芸術メセナとしてGallery OkarinaBを立ち上げ、同時に本格的な芸術活動をスタートする。 ロンドン、ベルリン、シンガポールなど海外で展示や、親子のための音楽(KARINBA)、語りのライブパフォーマンス(Rin-Bun)など、幼児教育とアートの交わるところを世の中に提示し続けている。 2009年~月1回子どもたちのための創作ワークショップ「Atelier for KIDs」をGallery OkarinaBにて開催。ワークショップ教室に参加する子どもたちや保護者から「りん先生」として親しまれている。 著書に「国語なぞぺ〜」(草思社) 高濱正伸/共著・他がある。 【ARTのとびら公式サイト】http://www.hanamarugroup.jp/art-edu/news.php

花まるグループとは?

花まるグループは、子どもたちを「メシが食える大人」そして「魅力的な人」に育てる学習塾です。子どもの本質を見据えた指導を行っています。

花まる学習会

年中~小学6年生の学習塾。数理的思考力、読解・作文を中心とした国語力野外体験を三本柱として、子どもの本質を見据えた指導を行っています。

花まる野外体験

花まるグル―プの野外体験は、バカンスではなく、ツアーでもない、生きる力を育むスクール。親元を離れ、初めて出会う子どもたちと大自然のなかで遊びつくします。

スクールFC

花まるグループの進学塾部門。思考力・学習法・意識改革の三本柱で、「自学ができる子」を育てます。やらされではない、子どもたちの幸せな受験を全力で応援します。

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