【Rinコラム】『まちがえることと、学ぶこと』2019年5月


まちがいに気づくこと抜きには、学びは始まりません。

まちがえることと学ぶことは、深くつながったひとつのプロセス。

だからこそ、子どもたちが何かをまちがったり、失敗したりしたら、「どうしたらできるようになるだろう?」と、未来に向かっていっしょに考えられれば、可能性は無限に開きます。


反対に、「なんでまちがっちゃったの?」と過去に向かって問い詰めてしまうと、「まちがえることはいけないことだ」「まちがえることは自分の価値を損ねることだ」という印象を持ってしまいます。

次第に子どもたちは、自分をありのままに表現しなくなります。

不安感からまちがえることを隠してしまう子は、未来に向かっていけなくなるのです。


大切なのは、もし失敗したり、まちがったりしても、いつでもそこから「学ぶことができる」ということ。

社会は今のままではありませんし、よい意味で変わっていきます。

社会がどのように変化していっても、自分への信頼を失わずに生きていけるかどうか。


「たくさんまちがったから、頭がよくなるね」と私たちが教室で子どもたちに言うとき、それは「そこから学びがたくさんあるし、そこからどうするか、そのプロセスが、人生では大事だよ」という哲学を伝えているのです。


一人の子どもを育てようと思ったら、新しいことの連続です。

子どもを前にすると、何をどうしたらいいか、ちっとも正解がありません。

その瞬間、どんな判断をして、どんな行動をとるか、予期しないことがどんどん起こります。


私たち大人こそが、「失敗もまちがいもおおいにけっこう。うまくいかなくてもくじける必要なんてないよ。

そこからどうするか考えられたら、よりよい未来を自分で創れるのだから」そのような態度を見せ続けてあげることが、必要なのかもしれません。


幼児期の子どもたちは、過去を振り返って反省するのは苦手ですが、未来を見ることは大好きです。

そして経験は、その経験をした人だけのものなのです。


子どもたちが、たくさんまちがいをして、そこから学んでいけますように。



井岡 由実(Rin)


▶その他のRinコラムはこちら


【ARTのとびら とは?】

2001年、花まる学習会がまだ小さな塾だったころ、教室で教える傍ら、児童精神科医の故稲垣卓先生とともに、不登校の子どもたちとその家族を支援する相談室Saliを立ち上げました。

家族でのカウンセリングのほか、絵画療法、遊戯療法、箱庭などを用いて子どもたちとセッションを続けます。

ただ聴くだけでなく、一緒に何かを作りながら、内なる対話を通して、子どもたちは疑似的に心の葛藤を体現していきました。描いたり創ったりすることが、彼らの内面を表現することを手助けし、確実に何かを浄化し続けているのだと気がついたのは、このときです。

「Atelier for KIDs」は、そんな想いから出発した、創作を通して自分を表現する、子どもたちに計り知れないパワーを与える創作ワークショップです。

RELLO 由実(Rin)

▶ARTのとびら の理念・実践はこちら



▶ARTのとびら公式サイトはこちら

Rin 井岡 由実(いおか ゆみ)

Rin 井岡 由実(いおか ゆみ)

2004年、花まる学習会取締役に就任。 2007年文京区根津にHanamaru Groupの芸術メセナとしてGallery OkarinaBを立ち上げ、同時に本格的な芸術活動をスタートする。 ロンドン、ベルリン、シンガポールなど海外で展示や、親子のための音楽(KARINBA)、語りのライブパフォーマンス(Rin-Bun)など、幼児教育とアートの交わるところを世の中に提示し続けている。 2009年~月1回子どもたちのための創作ワークショップ「Atelier for KIDs」をGallery OkarinaBにて開催。ワークショップ教室に参加する子どもたちや保護者から「りん先生」として親しまれている。 著書に「国語なぞぺ〜」(草思社) 高濱正伸/共著・他がある。 【ARTのとびら公式サイト】http://www.hanamarugroup.jp/art-edu/news.php

Category

keyword