【松島コラム】​​​​​​​​​​​​​​『盲亀浮木』 2019年4月

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「感謝」の反対は何でしょう。

辞書で「感謝」の対義語を調べると、「怨嗟(えんさ)=うらみなげくこと」と出てきます。

しかし、対象になる相手や物事に焦点を当てると、別の言葉が浮かびます。

それは「あたりまえ」です。


「盲亀浮木(もうきふぼく)」という言葉があります。

「広い海の中に1本の棒が浮かんでいて、その棒には一か所だけ穴が空いている。また、この海には目の見えない一匹の亀がいて、100年に一度だけ海面に浮かんできて頭を出すという。はたして、この亀が海面に浮かんできたときに、その棒の穴に頭を突っ込むというようなことがあるだろうか。実は人間として生まれてくることは、この盲亀が浮木に頭を入れることよりも難しいこと、有り難いことなのである」

という話から転じて、盲亀浮木とは「めったにない」という意味で使われます。

「ありがとう」の語源はここからきているという説もあります。

感謝の気持ちを表す「ありがとう」の語源である「有り難い」の反対の言葉として「あたりまえ」、そう考えることもできます。

法話などでお聞きになったことがあるかもしれませんが、何度聞いても大切な視座だなと思います。


絶望のどん底に突き落とされるような経験、生死をさまよう経験をすると、人は生きていること自体に感謝するようになると言います。

実際にそういう方を何人も知っていますし、私自身も働き盛りの40代に失明の危機を名医に救っていただいたことがあります。

病室で、「これから何をして生きていこうか。家族をどうやって養っていこうか」と思いながら、仕事があって普通に働けるというあたりまえの幸せに改めて感謝したことを覚えています。


幸せの感じ方は人それぞれです。

お金やモノ、地位といった短期的に他人との比較によって得られる幸せ、健康や平和といった他人とは関係なく長期的に感じる幸せがあります。

人によってどこに基準を置いているのか、何に関心があるのか、取り巻く環境によっても異なります。

日本では蛇口をひねるだけで水が出てくるのはあたりまえですが、今でもアフリカの途上国では、きれいな水を得るために、10キロ以上の道のりを何往復もして水をくみに行かなればならない地域があります。

水くみの仕事は子どもや女性が担います。

そのため子どもたちは学校にも行けず、女性はほかの仕事に就くことができません。

水道が整備され安全な水を手に入れられることは、彼らにとってはこのうえない幸せなのです。

そして幸せを感じるとみんな笑顔になります。

貧しい国の子どもたちのキラキラした笑顔の写真を見るたびに、なぜそんなに笑顔でいられるのか不思議に感じていたことがありました。

しかし、彼らにはあたりまえの幸せなんてないだということに気づいたとき、心から幸せを感じ、感謝している笑顔だからこそ、あんなに輝いているんだなと納得できました。


人間には「幸せになりたい」という共通関心があります。

そして人間は「いつもだれかとつながっていたい」という本能みたいなものを持っていると私は思っています。

相手から愛情をもらったり、逆に親切にして感謝されたり、人とつながることで幸せを感じるからです。

「盲亀浮木」のたとえのように、人として生まれることが奇跡だとしたら、人と人が出会うということは「奇跡×奇跡」ですから、とてつもなく有り難いことなのです。

一期一会を大切にしたいものです。


しかしそうは言っても、あらゆることに感謝の気持ちで接することは難しいことです。

生きているだけで幸せだと思うことも簡単ではないと思います。

でもせめてどんなときでも笑顔でいられたらいいですね。

「笑う門には福来る」。

笑顔は周囲によい影響を与えます。

そして向こうから幸せが引き寄せられてきます。


春は新たな門出の季節です。

桜の開花を待ち遠しく感じながら、みなさんに素敵な出会いがありますことをお祈りしております。



スクールFC代表 松島伸浩



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松島 伸浩(まつしま のぶひろ)

松島 伸浩(まつしま のぶひろ)

1963年生まれ、群馬県みどり市出身。現在、スクールFC代表兼花まるグループ常務取締役。教員一家に育つも、私教育の世界に飛び込み、大手進学塾で経営幹部として活躍。36歳で自塾を立ち上げ、個人、組織の両面から、「社会に出てから必要とされる『生きる力』を受験学習を通して鍛える方法はないか」を模索する。その後、花まる学習会創立時からの旧知であった高濱正伸と再会し、花まるグループに入社。教務部長、事業部長を経て現職。のべ10,000件以上の受験相談や教育相談の実績は、保護者からの絶大な支持を得ている。現在も花まる学習会やスクールFCの現場で活躍中である。

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