【Rinコラム】『自由な創作の過程にある「自分との対話」「没頭」』


創作活動に没頭している間、子どもたちの中でいったい何が起きているのでしょう。


それは「自分との対話」です。


「対話」というと、人と人の間に存在するもの、と考えることが多いかもしれません。

しかし実際には、内なる自分と対話することのほうが多いのが、人間という生き物です。
制作中の子どもたちは、「もっとこうしたい」という内なる欲求を確かに感じ取り、自分自身と向き合い始めます。


「誰かのために」ではない、「自分のための」制作の時間。

それが「上手であるか」どうかではなく、表現する過程そのものに夢中になっているのです。


それが「何なのか」を知りたくて制作しているときもありますし、創作中のハプニングから発想を転換し、うまく作品に昇華することもあります。


人に言われてやる何かではなく、そもそも正解のない世界で、自分自身の正解を探し続ける。

「人生は旅のようだ」と昔の日とは言いましたが、創作の時間はそれに似ています。


自分との対話を重ねる旅を通して、社会に出た時の確固たる自分、この先の人生を有意義なものにしていく力を育てている。


人が自分で主体的に生きていると感じるためには、他者からの承認のうえに、自分が判断している、自分が決めているという実感を持つことが必要です。


大人にとっても、幸せの軸はそこにあるはずです。


幼児期にその実感を得られるのは、夢中になって遊んでいるときです。

熱中すると時間を忘れて没頭する、その感覚を持てているかどうかを、大切にしてあげてください。


子どもたち自身の中に、学びたいことは存在しています。


それに向かって、自分で内容をデザインできる、それが「創作活動というあそび=主体的な学び」なのです。


例えば花まるの年中年長コースでも、創作の時間、同じテーマに沿って実験するとき、新しい知識や発見や驚きを、感動とともに仲間と分かち合い、それぞれが「思考と想像の体験」に没頭します。

その間、講師は作品の出来不出来を評価することはありません。


なぜなら、「対話する過程そのもの」に、重きを置いているからです。

自分なりの感じ方・考え方を築き、他者との違いを、豊かさと感じられるように。

そのことが、ひとりひとりのアイデンティティをかたちづくっていくからです。
               

ARTのとびらきはん:「じゆうにやりたいように」より


井岡 由実(Rin)



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【ARTのとびら とは?】

2001年、花まる学習会がまだ小さな塾だったころ、教室で教える傍ら、児童精神科医の故稲垣卓先生とともに、不登校の子どもたちとその家族を支援する相談室Saliを立ち上げました。

家族でのカウンセリングのほか、絵画療法、遊戯療法、箱庭などを用いて子どもたちとセッションを続けます。

ただ聴くだけでなく、一緒に何かを作りながら、内なる対話を通して、子どもたちは疑似的に心の葛藤を体現していきました。描いたり創ったりすることが、彼らの内面を表現することを手助けし、確実に何かを浄化し続けているのだと気がついたのは、このときです。

「Atelier for KIDs」は、そんな想いから出発した、創作を通して自分を表現する、子どもたちに計り知れないパワーを与える創作ワークショップです。

RELLO 由実(Rin)

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Rin 井岡 由実(いおか ゆみ)

Rin 井岡 由実(いおか ゆみ)

2004年、花まる学習会取締役に就任。 2007年文京区根津にHanamaru Groupの芸術メセナとしてGallery OkarinaBを立ち上げ、同時に本格的な芸術活動をスタートする。 ロンドン、ベルリン、シンガポールなど海外で展示や、親子のための音楽(KARINBA)、語りのライブパフォーマンス(Rin-Bun)など、幼児教育とアートの交わるところを世の中に提示し続けている。 2009年~月1回子どもたちのための創作ワークショップ「Atelier for KIDs」をGallery OkarinaBにて開催。ワークショップ教室に参加する子どもたちや保護者から「りん先生」として親しまれている。 著書に「国語なぞぺ〜」(草思社) 高濱正伸/共著・他がある。 【ARTのとびら公式サイト】http://www.hanamarugroup.jp/art-edu/news.php

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