【松島コラム】​​​​​​​『エドテック(EdTech)』2018年12月

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一年は早いもので今年の流行語大賞の時期になりました。

教育界の今年の流行語と言えば、「エドテック(EdTech)」です。

エドテックとは、Education(教育)とTechnology(技術)の造語で、教育分野でテクノロジーを使ってイノベーションを起こすビジネス、サービス、ベンチャー企業などの総称をいいます。

この火付け役となったのは、アメリカの「カーンアカデミー」という、無料で視聴できる学習用の動画サービスでした。

インド人のサルマン・カーン氏が、「算数を教えてほしい」という遠方のいとこのために、タブレットとペンで動画をつくり、ユーチューブにアップしたところ、それを見たほかの学生や先生からの反響があまりにも大きかったため、その後本業の金融業を辞め、本格的に講義動画をつくるようになったのが始まりだそうです。

2013年には動画数が5500を超え、ひと月の利用者は1000万人以上、学校の現場で利用している先生の登録者数も35万人に達し、世界200ケ国のどこからでも無料で誰でも見ることができる巨大オンライン学習プラットフォームに成長しました。

それ以降、オンライン教育の流れは世界中で加速し、日本でも、「カーンアカデミー日本語版」や大学の講義が無料で受けられる「gacco(ガッコ)」、小中高生を対象とした「eboard(イーボード)」、有料のものでは、「スタディサプリ」や社会人向けコンテンツの「Schoo(スクー)」などが登場しました。


エドテックは、動画配信だけに限りません。

ここ数年ブームとなっているフィリピン英会話、AI(人工知能)やVR(仮想現実)技術を使った学習アプリ、学校で利用されているタブレット授業、学習支援ソフトなども含まれます。

Think!Think!や花まる中等部もアプリや動画を使っていますから、エドテックを使った授業の一つです。


2017年から今年にかけて、このエドテックが急激に取り上げられるようになった理由の一つは、政府が掲げる「Society5.0」という政策にあります。

これは、少子高齢化、経済格差、地域格差などの社会的問題を、IoT(モノのインターネット)やAI、ドローンやロボット、クラウドサービスやブロックチェーンなどを使って解決し、誰もが快適に暮らせる便利な社会をつくろうというものです。

電子マネーやクラウドファンディング、スマホを使った遠隔医療や自動運転などはすでに身近なものになっています。

この流れの中で、教育も変わる必要があることから、文部科学省だけでなく、教育現場のインフラを整備する総務省、教育サービスを所管する経済産業省が一体となって教育のICT化に取り組み始めたのです。

その中でも経産省は、第4次産業革命と言われる新しい産業構造を支える人材を創出するためには、教育の大転換が必要であるという方針のもと、「未来の教室」実証事業を今年からスタートさせました。

千代田区立麹町中学校を皮切りに、私学や民間事業者、研究者が協力して、新しい学校教育の形、未来の教育のあり方を模索し始めています。


さて、こうしたテクノロジーを使った教育が進められていくことで、子どもの学び方はどうなっていくのでしょうか。

変化が激しく正解のない、または正解が一つとは限らない時代では、過去の知識やスキル、成功体験や価値観が通用しなくなると言われています。

与えられた内容を記憶し、それを正確に再現していく力よりも、自らが課題を見つけ、試行錯誤しながら、自分で答えを出していく力が求められるようになるのです。

そう考えたときに、みんなといっしょに同じペースで同じ課題に取り組むこれまでの教育手法を見直して、個々の課題や特性、環境に合わせた学び方ができるように、テクノロジーを最大限に活用していこうということです。

選択肢が増えることで豊かな学びができるようになり、それによって学習成果や意欲も向上していくと考えられています。

社会の変容に合わせて、多様かつ自由な働き方を推進する動きがあるように、個々に合わせた多様かつ自由な学び方が生まれてくるのは自然の流れではないでしょうか。

もちろん、個々で学ぶことだけがよいというわけではありません。

豊かな学びの中には集団で学ぶことの重要性も含まれています。しかし学校に行かなくても学べる環境があることによって救われる子も出てくるのです。

その意味では学校でしか学べないことは何か、その価値はますます高まっていくでしょう。

そして教師の役割とは何か、その重要性が問われる時代がやってきます。

それは学習塾も同じです。

テクノロジーに任せられる部分は任せ、リアルに学ぶ場において、先生は子どもたちの好奇心を刺激し、より深い学びへと興味・関心が広がるようなファシリテーションのスキルをこれまで以上に求められていきます。


先日学校の先生や塾などの教育関係者が集まる非公式の勉強会に参加してきました。

「新しい未来の教育をつくっていくために自分たちができることは何か」白熱した議論が展開され、会場は熱気に包まれていました。

日本の教育が変わろうとしていることをあちこちで実感しています。

特に私教育はそのスピードを速めています。

スクールFCでも、これまでの受験学習のあり方を検証しつつ、ご家庭それぞれにとっての幸せな受験ができる新たな枠組みを提供していきたいと考えております


スクールFC代表 松島伸浩



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松島 伸浩(まつしま のぶひろ)

松島 伸浩(まつしま のぶひろ)

1963年生まれ、群馬県みどり市出身。現在、スクールFC代表兼花まるグループ常務取締役。教員一家に育つも、私教育の世界に飛び込み、大手進学塾で経営幹部として活躍。36歳で自塾を立ち上げ、個人、組織の両面から、「社会に出てから必要とされる『生きる力』を受験学習を通して鍛える方法はないか」を模索する。その後、花まる学習会創立時からの旧知であった高濱正伸と再会し、花まるグループに入社。教務部長、事業部長を経て現職。のべ10,000件以上の受験相談や教育相談の実績は、保護者からの絶大な支持を得ている。現在も花まる学習会やスクールFCの現場で活躍中である。

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