【Rinコラム】『ユーモアは日常の中のアート』2018年12月



ひょうきんな自分、というものは誰の中にも存在します。

それは誰かを笑わせたい、喜ばせたい、驚かせたい…というような、相手が幸せであることに喜びを感じる、社会的な生き物である人間の、根源的な欲求です。


子どもたちは表現していく中で、必ず自分の中の「あそびゴコロ」に気がつきます。

そして最終的には最も重要な、自分を楽しませたい、という欲求に従ってゆきます。

その瞬間こそが、自由に「表現する」ということです。

他者をイメージし、しかも自分を喜ばせる。

それが同時にできることの追求はまさに、よい仕事をしているときの我々大人の理想ではないでしょうか。


「見守り」ながら子どもたちの「あそびゴコロ」をいつも引き出せるつもりでいる。

それが、アーティストでありながら教育者として生きる私が大切にしていることです。

絵の具がついた手を見て「汚れちゃった…」と言った子に、「その手も作品だね」と言ってカメラを向けると、彼らは笑顔でフレームに収まります。

固定概念にとらわれず、「こんなとらえ方もある」と示すものという意味で、ユーモアとアートは同じ性質を持っているのです。

どちらも美しいと思ったこと、おもしろいと思ったことを作品に昇華するという点では同じ。

逆に、「こうでなければならない」といった、大人側の「ねらい」に気づいてしまうと、それはもうあそびでも表現でもない、大人を喜ばせるためのゲームになりさがってしまう。

私自身が子ども時代にそうであったように、表面には出さないけれど、子どもたちの内面はその違和感を感じ取っています。


どんなことにも笑いを見つけられる人は魅力的ですよね。

日常では、例えば一日に一つ、失敗や大変だった出来事をどんな「オチ」にすれば人は笑うかを考えて、SNSにあげるつもりでイメージしてみてください。

言葉にすることで自分の気持ちを整理できますし、「本当は私はこうしたかったのか」という発見もあるかもしれません。落ち着いて考えてみたら「笑える」と思えたなら、マイナスの出来事も「ネタ」に昇華できたということなのです。


 

井岡 由実(Rin)



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【ARTのとびら とは?】

2001年、花まる学習会がまだ小さな塾だったころ、教室で教える傍ら、児童精神科医の故稲垣卓先生とともに、不登校の子どもたちとその家族を支援する相談室Saliを立ち上げました。

家族でのカウンセリングのほか、絵画療法、遊戯療法、箱庭などを用いて子どもたちとセッションを続けます。

ただ聴くだけでなく、一緒に何かを作りながら、内なる対話を通して、子どもたちは疑似的に心の葛藤を体現していきました。描いたり創ったりすることが、彼らの内面を表現することを手助けし、確実に何かを浄化し続けているのだと気がついたのは、このときです。

「Atelier for KIDs」は、そんな想いから出発した、創作を通して自分を表現する、子どもたちに計り知れないパワーを与える創作ワークショップです。

RELLO 由実(Rin)

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Rin 井岡 由実(いおか ゆみ)

Rin 井岡 由実(いおか ゆみ)

2004年、花まる学習会取締役に就任。 2007年文京区根津にHanamaru Groupの芸術メセナとしてGallery OkarinaBを立ち上げ、同時に本格的な芸術活動をスタートする。 ロンドン、ベルリン、シンガポールなど海外で展示や、親子のための音楽(KARINBA)、語りのライブパフォーマンス(Rin-Bun)など、幼児教育とアートの交わるところを世の中に提示し続けている。 2009年~月1回子どもたちのための創作ワークショップ「Atelier for KIDs」をGallery OkarinaBにて開催。ワークショップ教室に参加する子どもたちや保護者から「りん先生」として親しまれている。 著書に「国語なぞぺ〜」(草思社) 高濱正伸/共著・他がある。 【ARTのとびら公式サイト】http://www.hanamarugroup.jp/art-edu/news.php

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