【4~5歳】子どもたちへの説明は「物語」にすると伝わりやすい

花まる教室長コラム

年中や年長の思考実験では、考え方を説明するとき、物語にすることが多くあります。

例えば年長の「畳替え」という課題。左右対称になるように、という条件で、部屋に畳のピースを敷き詰めていきます。場合分けの考え方を体感するものです。

 

「みんなは、畳職人です。畳職人には、注文が来ます。今日はなんと、大きな大きなお屋敷からの注文が来ました!」「お屋敷にはお部屋がたくさんあるんだって。そこに畳を敷いていくよ。ただね、お屋敷のご主人にはこだわりがあります。お部屋の真ん中の線から、右と左で同じ敷き方にしたいんだって!」 …という感じです。


このあたりで、子どもたちの心は早くも畳職人。「やってやるぜ!」と鋭い目つきになっています。2ページ、3ページとテキストが進むにつれ、部屋がどんどん大きくなっていきます。「ふぅ~っ!ちゅうもんがどんどんくるなあ!にんきだなあ!」と額の汗をぬぐう仕草まで。まるで職人!なりきっています。


子どもたちは、「それはどういうことなのか」「いま、何が起きているのか」を知りたいという気持ちをいつでも持っています。私たち教え手がすべきことは、彼らに寄り添い、彼らの欲するものを渡してあげることです。


赤い箱(=幼児期)にいる子に寄り添うための方法の一つが、物語にして説明してしまうことです。幼児は、出来事と出来事のつながりをいつも把握できるわけではありません。ああだったからこうなったんだ、という因果関係に代表される論理的思考が、まだ発達していないのです。「ふりかえりはできない」「反省しない」「直観力に優れている」…幼児期ならではの特性は、その表れです。


物語にすることで、何が起こるか。たとえば先ほどの畳敷きであれば、「問題のレベルが上がっているが、ルールは同じ」だということが、「さっきより大きな部屋の注文が来た!しかもこだわりがあるからその通りにやらなきゃな、職人だし!」という自然な流れの中で了解されます。「次も同じ考え方だよ」と言われるよりも、はるかにスムーズに、そして何より「やる気に満ちて」進められるのです。


6年生でも、読み聞かせには聞き入りますし、 大人でも朗読会を開きます。そこにある物語に没入することで、テーマを感じ、登場する人の成長や変化を味わうことができるからでしょう。 読書の醍醐味は、まさにこれです。一方で、人に何かを説明したり話を聞いてもらったりすることが基本的にうれしいのも、自分というものから出た、連続性のある内容=物語を再確認することができるからだと思います。


今回は、花まるメソッドの一端を、お伝えしました。

竹谷 和(たけたに かず)

竹谷 和(たけたに かず)

教材開発部所属。年中から中学3年生までの幅広い学年に対しての教材開発をはじめ、各種出版にも携わる。子ども一人ひとりにあった指導法をとことん考え抜き、心に響く強い言葉を持っている。主な著書に『子どもの「書く力」は家庭で伸ばせる』(実務教育出版)がある。

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