音楽教育|才能の差という壁にぶつかったとき!わが子の心を支えてくれる考え方とは?


音楽でもスポーツでも、プロとして輝いている人たちを見ると、自分には無い、非凡な才能を感じますよね。

それは子どもの世界でも同じ。

「あの子にはどんなに頑張っても勝てない。」

「練習しても意味ないじゃんっ!」

と才能の差を前にわが子がやる気を失くしてしまうこともあります。

そんなときに子どもたちの心を支えてくれる考え方をご紹介します。


自分の才能の限界を感じたとき

私が高校に入った時、自分が夢に見ていたようなソリストにはなれないと、大きな壁にぶつかりました。

周りには私よりも才能ある人がたくさんいて、自分にとって、追いつけない上の存在を意識して、その差に悩んでいました。

しかし、これは誰しもが抱える問題です。

志を高く持てば、夢が大きければ大きいほど、自分よりすごい人との差に悩みます。

音楽の才能は、ある程度努力で補うことができる部分もありますが、先天的なものにも影響されるので、なおさらと言えるでしょう。

これから先、自分がどれほど努力しても追いつけない人がいる、その世の中に対する不条理さを感じた時に、自分自身が音楽をこれからやる意味をどこに見出すかわからなかったのです。


自分の哲学を持つことが心の支えになる

私が、どうしようもない才能の差に悩んでいるときに出会ったのが、カミュの文学です。

そこには人生において不条理なことと出会った時の解決策が3つ書かれていました。

①自殺する

②神にすがる

③乗り越えることに価値を見出す

―「不条理」に対して、そういう風に捉えることができるのだな、という新鮮な驚きがあり、私の考え方は大きく変わりました。

練習して他の人よりもうまくなることを目的とするのではなく、練習して自分と向き合うこと自体に価値がある。

一流の演奏家になれるほどの才能はなかったとしても、平凡な才能に向き合うことが大切な作業である。

そう考えると、世の中に対して、ぐっと気持ちが開かれていきました。

このことは、楽器を練習しているすべての子どもたちにも言えることです。

「なんでいくらやってもうまく演奏できないのか」「これだけ努力したのに、どうしてコンクール入賞できないのか」生まれ持った才能の差を感じたり、努力では抗えない理不尽さを感じたり、不条理なことは多くあります。

同じ練習時間を割いても、ソリストになれる人となれない人がいるわけです。

そういった中で最悪のケースは「練習しても意味がない」と考えてしまい、そのまま音楽を辞めていってしまうことです。

自分の哲学を持っていると、心の支えになります。

ですから、「平凡な才能に向き合い続けることこそが人生の醍醐味」ということは、小さい時から教えてあげたい、と考えています。


練習とは自分との勝負である

「音楽をすることの意味、練習に対する心構え」もまた、子どもたちに教えてあげたい大切なことです。

「練習」とひとことで言っても、深いものです。練習を始めて、どこでやめるのか。

疲れたからやめるのか、これ以上うまく弾けるようにならないからやめるか。

また明日やろう、と思って調整するのか。

1週間で、どこまで仕上げたいから今日はここまで、と配分するのか。

1曲の練習に対して、自分の妥協点をどこにおくかも真剣勝負です。

誰の練習量も、目に見える形では残りません。

すべては自分との勝負です。

自分に甘くなろうとすればいくらでも甘くなれます。

だからこそ、自分と向き合うことをとことん求められるのです。

私自身は何か特別な才能があったわけではありません。

それでも、今も楽しく仲間と音楽を続けられる環境があるのも、平凡な才能に向き合い続け、豊かな音=豊かな人生、と音楽に学ばせてもらえたおかげだと思っています。


誰かに勝つことを目的とせず、自分に向き合い、自分と戦うことに価値を見出す。

この自己鍛錬の考え方こそが、壁にぶつかり悩んでいる子どもたちの心を支えてくれるでしょう。

また、わが子に才能が無いことを続けさせても無駄なのでは?とお悩みのお母さんの背中も押してくれますね。

音楽やスポーツなどの習い事はもちろん、勉強にも応用できる考え方ですので、ぜひ子どもたちに伝えていってあげてください。




【花まるメソッド音の森とは?】


2014年に開校した「花まるメソッド音の森」。音楽理論、ソルフェージュ、海外の民謡、教会音楽、読譜、記譜、作曲を1時間半の授業の中で学ぶ年中・年長~小学生の集団授業と、独自のメソッドに基づいた一対一のレッスンの二つを柱に備えた音楽教室です。

単に音楽が好き、楽しいというだけにとどまらず、人を幸せにする感性を育て、生きるための能力を高める。つまり「人を幸せにできる大人」を育てるということが「音の森」の教育理念です。

花まる学習会の「メシが食える大人」を育てるという教育理念と同じく、社会に出た後のことを見据えています。

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笹森 壮大(ささもり そうた)

笹森 壮大(ささもり そうた)

1988 年東京生まれ。3 歳よりチェロを始める。 桐朋学園女子高等学校音楽科を経て桐朋学園大学音楽学部に入学し、2008年よりフランスへ留学。 チェロを臼井洋治、倉田澄子、M・ミローネの各氏に師事。 帰国後、TV、ラジオ、舞台など様々な分野で活動を広げる。 幼児から大学生までを対象にチェロやオーケストラの指導を行う中で、 音楽教育の現状に問題意識を抱く。 2014年、花まる学習会にて、音楽教育部門「音の森」を立ち上げる。 「音楽を通して人を幸せにできる人」の育成を目指す。

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