落ち着きのない子に音楽の習い事は無謀?幼児の特性に合った練習法とは?

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「だめだこりゃ…」

バイオリン教室の体験会で、だんだん飽きてきて、ついには勝手に探検を始めた息子。案の定「それは触らないで!」と先生に注意されてしまった・・・。

「落ち着きのない子が音楽を習うのは無理なのかしら?」

いいえ、そうではありません。


落ち着きがないのは幼児の特性

「別の場所で楽器を習わせようとしたんですけど、落ち着きがなくて座っていられなくて、まだ始めるのは早い、と言われてしまいました。そんなうちの子でも、大丈夫でしょうか?」

と悩みながら、「音の森」に問合せをしてくるお母さんがいます。

私は、「もちろん大丈夫ですよ、落ち着きがないのが幼児の特性ですから」と言い切ります。

幼児が落ち着いてじっと座っていられないのは、当たり前だからです。

残念ながら、現状こういった幼児の特性を理解していない先生がとても多くいます。

それでは、ごく稀にいる「落ち着いている」幼児しか、楽器を習えなくなってしまいます。


落ち着きのなかった私がチェロを習うまで

私自身も、落ち着きのない子でした。

母親は、当初はチェロではなくバイオリンを習わせようと思ってレッスンを受けさせました。

4歳の頃です。

始まりの30分、自分の前の生徒のレッスンを聴いて学び、その後自分のレッスンを30分受ける。

その間、座っていられなければ厳しい…そのスタイルが当時の私には耐えられず、そこで、チェロのレッスンを受けることに変更したそうです。

幸運にも、チェロの先生がとても幼児の特性に理解のある方で、落ち着きがない私が寝っ転がっていても許してくれたのを覚えています。

クラシックという音楽の分野において、お行儀の良さが重視される考え方は根強いもの。

確かにそういう部分もあると思いますが、そもそも年中年長の幼児が座っていられること自体が奇跡だということを忘れてはいけません。


幼児が30分座っているのは奇跡

音楽の一番の醍醐味は、反復練習をした結果、できないことができるようになることです。

より美しく、ということを目指すのですが、算数の応用問題のように発展していくことがないので、幼児の年代には退屈に感じてしまい、楽器の演奏の練習が楽しいという風にはなかなかなりづらいものです。

よほど大きな動機付け(あの発表会に何が何でも出たい、など)がないとつまらないものでしょう。

小学生や中学生であっても、練習をする時間は苦しさを感じることが多い時間でもあります。

幼児でしたらなおさらです。「年中年長児が30分座っているのは奇跡」どうか、それをお母さんが知っておいてあげてください。

これだけでもレッスンへの向き合い方が変わってくるはずです。


幼児に練習を苦痛に感じさせない工夫

このような幼児の特性を考え「音の森」では、花まるメソッドを使って幼児向けの30分のレッスンを、動きがある楽しめるものにしています。

今、私は年中の男の子を5人担当しているのですが、どの子もみんな、30分レッスンを受けられます。

と聞くと、お行儀よく30分ずっと座っている様子をイメージされるかもしれませんが、そうではありません。

幼児なのでむずむず動きたがる時も、もちろんあります。

そのむずむずしてきた瞬間に「シークレットミッション」を取り入れます。

「シークレットミッション」とは、花まる学習会の年中年長クラスで取り入れているもので、授業の合間に入る、動きのある行動です。

「部屋の中にある青いものはいくつかな?数えてみよう、よーいドン!」

「ドアノブにタッチしてこよう。10数えているうちに3回行って帰って来られるかな?」

など。

幼児は体を動かすのが大好きですから、嬉々としてミッションを実行していきます。

体を動かすことで、レッスンもぎゅっとしまったものになりますし、眠くなりそうだった男の子たちの目の輝きも戻ります。

幼児の特性を研究しつくした上で、それに合わせた授業を。

それが、花まるメソッドを取り入れた授業です。

また、こういった幼児の特性に合わせた声かけをお母さんが知っておくだけで、おうちでの練習もぐっと楽になります。

幼児は話を聞いてくれない、座っていられない、それが当たり前です。

ところが、ひとつの作業にとても長くかかるのも、楽器の練習の特徴です。

ところどころで、体を動かす時間をほんの少し作ってあげるだけで、お母さんも子どももお互いに練習を楽しめるでしょう。


曲に合わせて、自由に歌ったり踊ったり、打楽器でリズム打ちをするのも楽しいですね。

ぜひ、「幼児の特性」「わが子の特性」を熟知しているお母さんならではの、楽しい練習法を考えてみてください。




【花まるメソッド音の森とは?】


2014年に開校した「花まるメソッド音の森」。音楽理論、ソルフェージュ、海外の民謡、教会音楽、読譜、記譜、作曲を1時間半の授業の中で学ぶ年中・年長~小学生の集団授業と、独自のメソッドに基づいた一対一のレッスンの二つを柱に備えた音楽教室です。

単に音楽が好き、楽しいというだけにとどまらず、人を幸せにする感性を育て、生きるための能力を高める。つまり「人を幸せにできる大人」を育てるということが「音の森」の教育理念です。

花まる学習会の「メシが食える大人」を育てるという教育理念と同じく、社会に出た後のことを見据えています。

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【おすすめ書籍】

🌼『感性と知性を育てる音楽教育革命!』




笹森 壮大(ささもり そうた)

笹森 壮大(ささもり そうた)

1988 年東京生まれ。3 歳よりチェロを始める。 桐朋学園女子高等学校音楽科を経て桐朋学園大学音楽学部に入学し、2008年よりフランスへ留学。 チェロを臼井洋治、倉田澄子、M・ミローネの各氏に師事。 帰国後、TV、ラジオ、舞台など様々な分野で活動を広げる。 幼児から大学生までを対象にチェロやオーケストラの指導を行う中で、 音楽教育の現状に問題意識を抱く。 2014年、花まる学習会にて、音楽教育部門「音の森」を立ち上げる。 「音楽を通して人を幸せにできる人」の育成を目指す。

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