音楽教育|低学年でも9カ国語の歌を歌えるようになる!幼児の特性を活かした音楽教材


「あるコンサートで、子どもが9カ国語の歌を歌ってたのよ!」

「すごい!天才児ね!」

(でも、わが子にはできないだろうな…)

いいえ、”みんな”できるようになります!


こどもたちに9カ国もの民謡を歌わせることに成功した「音の森」のオリジナル教材。

今回はその仕組みと意義を紹介します!


「わらべ歌教育」とその弊害

クラシック音楽を学ぶ導入として、子どもたちに民謡を歌わせる「コダーイメソッド」というものがあります。

民謡=その国の歴史であり、文化や生活が色濃く反映されたもので、子どもたちにとっては歌いやすいと考えられています。

日本でも約40年前にそのメソッドを導入することになりました。

ただし日本の子どもたちに、ヨーロッパの民謡は難しいだろうということで、日本の民謡が素材として用いられました。

これが「わらべ歌教育」です。

しかし、続けていくうちに、その「わらべ歌教育」の弊害があることがわかりました。

一番の弊害はリズム。

日本の民謡のリズムが、クラシックとは合わない。

また、アクセントやイントネーションの違いも問題でした。

ヨーロッパの子どもたちが、民謡で自然と身につけていた曲のアクセント、細かいニュアンス、それを、日本のわらべ歌からは学ぶことはできないのです。

そこで「わらべ歌教育」ではなく、やはり、海外の曲を持ってきたほうが良いのではないか、曲は海外のものにして、歌詞は難しいから日本語に訳したものを使えば良いのではないか、いや、それでは意味がないのではないか……、そのように議論が巻き起こったのは、2、3年前。

実は、その議論はそこでストップして結論が出ないまま、現在も「わらべ歌教育」が続けられています。


幼児の特性を生かした「音の森」の教材

私自身が、「わらべ歌教育」に対して強く問題意識を持ち、どうにかしたいと考えていた時に、花まる学習会で学ぶ子どもたちが「たんぽぽ」という教材を使って、古文漢文の素読をしている姿をを思い出しました。

普段使わない言葉、難しい漢字(ふりがなは振られています)、言葉の意味はわからない…そのような状態でも子どもたちは実に楽しそうに、音読をしています。

これだったら海外の民謡を題材として扱っても大丈夫だ、と確信を得た私は「音の森」の教材として『ぽるか』(20ヶ国語のリズミカルな伝統歌で、イントネーションを知る教材)と『きりえ』(祈りの歌を通して美しさと文化を体感する教材)を作成しました。西洋の歴史文化が内包されたさまざまな地域・言語の民謡や、教会音楽を素材として採用しています。

その結果、2015年12月25日に「音の森」主催で初めてクリスマスコンサートを開催し、そこで子どもたちは、なんと9カ国語の歌を披露することができました。

ドイツ語、英語、イタリア語、セルビア語、ポーランド語、ラテン語、ギリシャ語、フランス語、そして日本語です。

「音の森」の授業の中で、月に2、3回、漢文の素読のようにその言語に触れていただけで、歌うことができたのです。

子どもたちのテキストは、譜面はなく歌詞だけしか書いていません。

歌詞と譜面を書くと混乱すると思い、あえて歌詞だけにしたのですが、子どもたちは見事に歌い切りました。

これは私が、花まる学習会で幼児の特性を学んだからこそ「できる!」と思って実践したことです。

「わらべ歌教育」の話は、幼児の特性につてはこれまであまり研究がなされておらず、「大人が『これは子どもにはできない』と決めつけたレッスンが行われている」という事例もあります。

専門的に幼児教育を学んでいないにせよ、現場で子どもたちを見てどれくらいのことを子どもができるのか、を感じとっていないのは、現場の教える側の怠慢なのではないでしょうか。

 

音楽を通じて世界を体験しよう!

「ぽるか」という教材で、各国の言語にたくさん触れることの良さは、実はもうひとつあります。

それは「経験を通じた成長」です。

花まる学習会では、保護者の方とのコミュニケーションツールとして、連絡帳を使用しています。

年長児のクラスで、夏休みが終わって「この子、顔つきが変わったなぁ」という子の連絡帳には、決まってお母さんからのコメントがあります。

「家族で初めてキャンプに行き、川の近くで魚を捕り、二泊三日自分たちでご飯を作りました」また、「槍ヶ岳を家族で登りに行きました。そこで夜、息子たちは東京では見ることのできない星空を見て感動していました」など、大自然に触れた経験が書かれています。

正に「経験を通じた成長」だったのでしょう。

話を「ぽるか」に戻すと、子どもたちが各国の言語に触れることで、その国や民族について、歌を通して経験できる効果があります。

「サンタルチア」を歌えばイタリアの陽気な海と軽やかな風。

「スカボロ・フェア」であれば、ドリア旋法による英国の古風な失恋歌を味わうことができます。

行ったことがない国の街並み、自然、空気感、人間模様……、音楽の良さは、その世界観の疑似体験ができることでもあります。自分の内面、世界観を大きく広げることができるのです。

世界を体験できることが、多言語に触れる「ぽるか」の良さでもある。経験をする、そして成長する。音楽を通じて、子どもたちにはその機会をたくさん持ってもらいたいと思います。


「子どもにはできないだろう」という勝手な大人の思い込みが、子どもたちの可能性を奪っているとしたら、とてももったいないことですね。

「できるはず!そのためにはどうしたらいいか?」

毎日の育児もそんなふうに考えて、わが子の経験をもっともっと増やしてあげましょう。




【花まるメソッド音の森とは?】

2014年に開校した「花まるメソッド音の森」。音楽理論、ソルフェージュ、海外の民謡、教会音楽、読譜、記譜、作曲を1時間半の授業の中で学ぶ年中・年長~小学生の集団授業と、独自のメソッドに基づいた一対一のレッスンの二つを柱に備えた音楽教室です。

単に音楽が好き、楽しいというだけにとどまらず、人を幸せにする感性を育て、生きるための能力を高める。つまり「人を幸せにできる大人」を育てるということが「音の森」の教育理念です。

花まる学習会の「メシが食える大人」を育てるという教育理念と同じく、社会に出た後のことを見据えています。

▶花まるメソッド音の森 理念・実践はこちら


【おすすめ書籍】

🌼『感性と知性を育てる音楽教育革命!』




笹森 壮大(ささもり そうた)

笹森 壮大(ささもり そうた)

1988 年東京生まれ。3 歳よりチェロを始める。 桐朋学園女子高等学校音楽科を経て桐朋学園大学音楽学部に入学し、2008年よりフランスへ留学。 チェロを臼井洋治、倉田澄子、M・ミローネの各氏に師事。 帰国後、TV、ラジオ、舞台など様々な分野で活動を広げる。 幼児から大学生までを対象にチェロやオーケストラの指導を行う中で、 音楽教育の現状に問題意識を抱く。 2014年、花まる学習会にて、音楽教育部門「音の森」を立ち上げる。 「音楽を通して人を幸せにできる人」の育成を目指す。

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