子どもが音楽を上達させる、たった一つのコツ

「今日もダメだった…」

「あの曲は難しいから仕方ないよ。また練習頑張ろう!」

ピアノ教室の帰り道、しょんぼりしている娘を明るく励したものの、先生が納得する“完成”まで遠い道のりを思うとため息がでそうになる…。

明確なゴールがない音楽ではどのようにして子どものやる気をひきだしたらよいか?

花まるメソッド音の森」ならではの方法をご紹介します。


先生に褒めてもらえない…

「音の森」の生徒さんの保護者方からは「これまで音楽を別のところで習ってきたけれど、そこの先生にはまったく褒められなくて…」ということをよくお聞きします。

これはとても根深い問題です。

音楽教室で褒められる機会が少ないのは、先生の頭の中には「曲の完成形」が存在していて、生徒をそこに到達させないといけない、という想いがあるからです。

しかし、子どもたちに「この曲を聞いてお手本どおりに弾きなさい」と要求することは、たとえるならば、大人に「はい、今からモナリザを見て、同じように描いてください」と要求するようなもの。

非常に難しく、とうてい不可能なことです。

それを認識せずに子どもに要求しているからこそ、子どもをまったく褒めることができないのです。

 

スモールステップの成長に気づいていない!?

私は幼稚園の年中クラスの生徒にチェロを教えています。

その子のレッスンが4月にスタートして、9カ月たった12月に、ようやく「きらきら星」の練習がスタートしました。

その9カ月、何をしていたかというと、すべて「きらきら星」の完成形が到達目標だと設定されていると、この9カ月は、まったく褒めるところがないまま終わってしまいます。

「きらきら星」の練習が始まったとしても、その曲を「流暢に」弾けるまでは褒められません。

もっと上手にできるはずであるという完成形が先生の頭の中に強くあるため、その子がスモールステップで成長していることに、先生自身が気がついてあげられないのです。

実は、これは音楽経験が豊富なお母さんも陥りがちなことです。

曲の完成形、きれいな音で正しい音程、伸びやかな音、のイメージがお母さんの中に強くあるので、子どもがちょっとうまく弾けるようになったとしても、それを認めてあげることができません。

それどころか、できないところばかりに意識がいってしまい「もっときれいに、正しいフォームで演奏して」と注意してしまう。

これでは、子どもはいつまでたっても成功体験を味わえません。

そして、成功体験を味わえないと、やがて子どもは音楽を嫌いになってしまうという最悪の事態となります。非常に残念なことです。

 

「花まるメソッド」で解決!

「スモールステップを見つけて褒めてあげる」ということこそが、花まるメソッドです。

花まる学習会では、特に「なぞぺ~」という教材にこの考え方が用いられています。

「なぞぺ~」は思考力を鍛える問題で、一般的な計算問題や文章読解問題とは違い、空間認識、平面図形のセンス、論理、試行錯誤、発見といった力を身につけるための、オリジナル問題がたくさん出てきます。

すぐには解けません。

しかし、褒めます。

「大きな声で問題を読めたね」

「図を描いて考えられたね」

「手をたくさん動かして考えたあとを残したね」

…など、正解を出したから褒められる、というわけではなく、考える過程を認め、ひとりひとりの子どもが、以前の自分より成長した部分を褒めてあげるのが大切だと考えているからです。

「音の森」では、この考え方を取り入れて、生徒が音楽練習においても小さな成功体験をたくさん積めるようにしています。

たとえばピアノの場合。

1曲弾けるようになったら、それがきれいに伸びやかに演奏するというところまで到達していなかったとしても、ピアノのふたを全開にして演奏させてあげます。

さぁ、小さな発表会です!

子どもは特別感を感じると嬉しいものです。

音楽って楽しい、もっと練習しようという意欲につながります。


目指す場所があればもっと頑張れる

算数などと違って、音楽には「正解=ゴール」がありません。

どんなに練習を重ねても、子どももお母さんもゴールはわかりません。

だからこそ、考える側がスモールステップでゴールを設定してあげる、そして、成長を認めてあげることがとても大切なのです。

より高みを目指して練習させることと、小さな上達を認めて褒めてあげることは、別のことです。


現在通っている音楽教室の先生に小さな目標を設定してもらうことが難しい、という場合は、ぜひお母さんがゴールを決めてあげてください。

楽譜を見てメロディーを歌えるようになったら、右手だけでも弾けるようになったら、この小節までできたら…。

いつも隣で練習を見ているお母さんだからこそわかる「あともう少し頑張ればできる」という絶妙な目標を設定し、できたら思いっきりほめてあげましょう。

大好きなお母さんに認めてもらえたら、それだけでも子どものやる気が上がっていきますよ。



【花まるメソッド音の森とは?】

2014年に開校した「花まるメソッド音の森」。音楽理論、ソルフェージュ、海外の民謡、教会音楽、読譜、記譜、作曲を1時間半の授業の中で学ぶ年中・年長~小学生の集団授業と、独自のメソッドに基づいた一対一のレッスンの二つを柱に備えた音楽教室です。

単に音楽が好き、楽しいというだけにとどまらず、人を幸せにする感性を育て、生きるための能力を高める。つまり「人を幸せにできる大人」を育てるということが「音の森」の教育理念です。

花まる学習会の「メシが食える大人」を育てるという教育理念と同じく、社会に出た後のことを見据えています。

▶花まるメソッド音の森 理念・実践はこちら


【おすすめ書籍】

🌼『感性と知性を育てる音楽教育革命!』




笹森 壮大(ささもり そうた)

笹森 壮大(ささもり そうた)

1988 年東京生まれ。3 歳よりチェロを始める。 桐朋学園女子高等学校音楽科を経て桐朋学園大学音楽学部に入学し、2008年よりフランスへ留学。 チェロを臼井洋治、倉田澄子、M・ミローネの各氏に師事。 帰国後、TV、ラジオ、舞台など様々な分野で活動を広げる。 幼児から大学生までを対象にチェロやオーケストラの指導を行う中で、 音楽教育の現状に問題意識を抱く。 2014年、花まる学習会にて、音楽教育部門「音の森」を立ち上げる。 「音楽を通して人を幸せにできる人」の育成を目指す。

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