【Rinコラム】『あなたらしく』2017年12月

 「自分らしく生きる」とはどういうことでしょうか。「あなたらしさ」とは何でしょう?


 わたしが子どもたちを前にして大切にしていることのひとつに、「感情も意思もある、一個の人間として、対等であろうとすること」だと以前お話しました。(5月号)


 例えば、オトナが初心者の気持ちで何かをやってみせる。

そうすると、新しいことを始める楽しさを、簡単に子どもたちに伝えることができます。


 さらに完璧を目指さないで何かを楽しむとき、同じように子どもたちも楽しみます。

(「完璧を求める」ことは、わたしはこのままでは十分ではない、という不安の表れかもしれませんね。)

私たちは、ありのままで十分素晴らしい。


 反対に、いつも正しい答えを導きだそうと必死だと、何かを学ぶことの喜びは見いだせなくなっていきます。


 例えば、自分の不完全さ(完璧な人間なんかいませんよね)を、さらけ出して見せてあげる。

それは、失敗を怖がらなくてもいいのだ、という価値観を伝えることにつながります。

自分を信じて、何度でも挑戦する勇気を、教えることができるのです。

そう、夢をかなえた人は、失敗をしなかった人ではなく、失敗しても何度でも挑戦した人です。

楽しみを見出しながら。


 たとえば、無理に「大丈夫」と言わない。

より自然体でいて、子どもの前で、自分の心の声を無視したりせず、あなたらしさを表現してもいい。

自分の感情に正直になると、自分への信頼が深まります。

その先に、他人への思いやりというものが生まれていきます。


 自分の感情を知っていることは、表現するために/創造力を発揮するために、人として必要不可欠なもの。

あらゆる困難な場面での解決策は、いつも創造力を必要とするのだから。


 子どもたちがより「自分らしく」いられれば、成長したとき、自分の望む仕事を生み出していける大人になるでしょう。

自分を信じられることは、しあわせなこと。


 対等であろうとすることは、あなたらしくあること。

彼らを前にして、私たちオトナ側が、「わたしらしさ」というものを、もう一度見つめ直す必要があるのかもしれません。


井岡 由実(Rin)



▶その他のRinコラムはこちら


【ARTのとびら とは?】

2001年、花まる学習会がまだ小さな塾だったころ、教室で教える傍ら、児童精神科医の故稲垣卓先生とともに、不登校の子どもたちとその家族を支援する相談室Saliを立ち上げました。

家族でのカウンセリングのほか、絵画療法、遊戯療法、箱庭などを用いて子どもたちとセッションを続けます。

ただ聴くだけでなく、一緒に何かを作りながら、内なる対話を通して、子どもたちは疑似的に心の葛藤を体現していきました。描いたり創ったりすることが、彼らの内面を表現することを手助けし、確実に何かを浄化し続けているのだと気がついたのは、このときです。

「Atelier for KIDs」は、そんな想いから出発した、創作を通して自分を表現する、子どもたちに計り知れないパワーを与える創作ワークショップです。

RELLO 由実(Rin)

▶ARTのとびら の理念・実践はこちら



▶ARTのとびら公式サイトはこちら

Rin 井岡 由実(いおか ゆみ)

Rin 井岡 由実(いおか ゆみ)

2004年、花まる学習会取締役に就任。 2007年文京区根津にHanamaru Groupの芸術メセナとしてGallery OkarinaBを立ち上げ、同時に本格的な芸術活動をスタートする。 ロンドン、ベルリン、シンガポールなど海外で展示や、親子のための音楽(KARINBA)、語りのライブパフォーマンス(Rin-Bun)など、幼児教育とアートの交わるところを世の中に提示し続けている。 2009年~月1回子どもたちのための創作ワークショップ「Atelier for KIDs」をGallery OkarinaBにて開催。ワークショップ教室に参加する子どもたちや保護者から「りん先生」として親しまれている。 著書に「国語なぞぺ〜」(草思社) 高濱正伸/共著・他がある。 【ARTのとびら公式サイト】http://www.hanamarugroup.jp/art-edu/news.php

Category

keyword