『ART のとびらきはん – 大人向け解説ver.-(2)』


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2 うまくいかなくてもくじけない

完璧を求めるのではなく楽しんでやることを知る人は、自らを信頼する人です。

うまくいかないこと、自分の限界を感じることもあります。

立ちはだかる壁を前にしても、くじける必要なんてないのです。

一緒に考える先生も、同じ時間を共有する仲間もみな、一個の表現者です。
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「うまくいかない」と葛藤する経験が重要です。

じゆうを担保された、正解のない創作の世界でも、子どもたちは、内なる自分自身との対話を通して、思い描くイメージを表現しています。

「どうしたい?」という問いに対する答えを追求する、誰にも邪魔されたくはない時間に、それは起こります。


経験値がある分、大人はとかく「そうしたらきっと失敗する/うまくいかない」と、未来への予想がついてしまいます。


「(きっと汚れるから)ダメ」

「(たぶんひっくり返すから)やめて」

「(おそらく一人では時間がかかるから)それ貸しなさい」

…普段の生活でそれが当たり前になっていると、いざ遊びや創作の空間でも、ついいつもの調子で、彼らの体験や主体性を奪ってしまうのです。


彼らが「葛藤している」時間、「あ!しまった!」という表情は、この世の最も尊い瞬間。

それでも私はいつも笑います。

「それも面白い。そこからどうしようか。」

「いいよ、試してごらん」

そして最後はいつも

「よかったね」

で終えるのです。


じゆうとは、責任が伴うものです。

最後まで経験させてあげること。

大人が手を出しすぎないことによって、子どもたちの葛藤から生まれる、柔軟に発想して工夫する創造力を、失敗は失敗じゃない、別の何かが生まれる瞬間だ、と知る体験を、子どもたちに与えることができるのです。


昔の人は言いました。「かわいい子には旅をさせよ」と。

日常は彼らにとって、小さな旅の連続です。

大人の方が葛藤しながら、彼らにはたくさんの旅を経験させてあげられますように。


井岡 由実(Rin)



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Rin 井岡 由実(いおか ゆみ)

Rin 井岡 由実(いおか ゆみ)

2004年、花まる学習会取締役に就任。 2007年文京区根津にHanamaru Groupの芸術メセナとしてGallery OkarinaBを立ち上げ、同時に本格的な芸術活動をスタートする。 ロンドン、ベルリン、シンガポールなど海外で展示や、親子のための音楽(KARINBA)、語りのライブパフォーマンス(Rin-Bun)など、幼児教育とアートの交わるところを世の中に提示し続けている。 2009年~月1回子どもたちのための創作ワークショップ「Atelier for KIDs」をGallery OkarinaBにて開催。ワークショップ教室に参加する子どもたちや保護者から「りん先生」として親しまれている。 著書に「国語なぞぺ〜」(草思社) 高濱正伸/共著・他がある。 【ARTのとびら公式サイト】http://www.hanamarugroup.jp/art-edu/news.php

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