低学年・高学年で違う!?社会で生き抜く「継続する力」の伸ばし方

花まる教室長コラム


 花まる学習会が創設以来一貫して掲げ続けている教育目標に「将来自立してメシが食える人間」を育てるとあります。では、「自立してメシが食える」人になるために必要になる要件は何でしょうか。私の答えは三つ。


「体力(免疫力)」「精神力」「継続力」


 学力云々以前に、これは最低限身につけておきたい必要な力だと考えています。今回は、その一つ、「継続力」についてお伝えします。


 入社してから昨年までの10年間、ずっと人事畑で過ごし、新入社員研修を担当しては心を鬼にし、若者を鍛えてきました。美辞麗句を並べて志の高さを訴え入社はしてくる。しかし、子どもの前に立つための心構えや、社会人としてこれからを生きていくための基本を伝えると、ハリボテの志は崩れ、静かに去っていく背中を何人も見てきました。見送る背中に共通していたのは、我慢の足らなさと、一つのことを続けた先の未来を知る経験の乏しさ。ほとんどこれに尽きます。


「会社に必要とされる人になれる自信がない」


 毎年のように多くの子から聞く言葉だということを考慮すると、必ず新入社員が一度はぶつかるようなある意味健全な壁であり、誰もがかかる風邪みたいなものでしょう。子どもも大人も、風邪を引いたら治して免疫力をつけていくものです。同様に、仕事も勉強も自信がないから自信をつけられるよう(わからないからわかるように)に日々学んでいく訳ですね。


 「会社に必要とされる人とは?」それは居るべき時に必ず居てくれる人です。ちょっとやそっとのことでは休まない体力。居続けて(継続力)くれさえすれば、自ずと信頼はついてきます。残念ながら、この「続ける力」が欠落している子が今は非常に多い。手応えや、やりがいを感じる前に「もっと(楽に)楽しめる、自分に合った場所があるのでは?」と、短絡的に環境を変えるという手段を講ずる経験だけが蓄積されると、「続かない」ことが当たり前の習慣になるものです。多少体が辛かろうが、休みたい気持ちが湧き出てこようが、社会に出ればそんなことに負けちゃいられない場面だらけな訳です。だから、幼児期のしなやかで素直な感性のうちに、嫌なことであろうと「やらなければいけないことはやる」習慣を身につけなければなりません。一度習慣になると、やらないと気持ち悪いという感覚が身に付きます。入浴や歯磨きなんかは無意識レベルの習慣の好例でしょう。


 学習面の良質な習慣を身につける練習の第一歩が低学年コースから始まる、あさがお・サボテンの「一日1ページの宿題」です。低学年のうちは、ご家庭の約束として一日のうちのこの時間と決めることを推奨します。子どもの自主性に任せるよりは、日々の生活の一部にしてしまった方が良い結果が出ています。拙著にも書きましたが既に固定されている大習慣と大習慣の間に挟むと、新しい習慣は馴染みやすいことを意識していただけるといいでしょう。

 あるお母さんの成功事例。朝食の膳の横に、その日にやるあさがおとサボテンを開いて置いておき、一つずつ終わらせたら朝食の席に着けるというもの。「やりたい」とか「やりたくない」とか考えさせる間もなく、パジャマから服に着替え、朝食を摂る当たり前の流れの一環として組み込んで成功しました。半年経ち定着してからは全く声もかけなくなって、もう6年。どちらかというと基本的な学習(計算の反復や漢字練習)は朝やると子どもが決めているとのことです。


 高学年は、スケジュールを自分で決めて実行していくといくことを目標としていきます。一週間の見通しを立て、スケジュールを視覚化しておき、しっかりとこなしていくこと。こなせないのであればどこに原因があるのかを考え抜くこと。言われてやるのではなく、自分の責任において学習を進めていかなければ最終到達点の自学にはなりません。

 勿論、最初から上手くいくはずがありません。経験してほしいのは失敗と、その後の解決策を考えること。自分のスケジュールに合った効果的かつ、効率的な学習スタイルの確立を目指し自身と向き合う鍛錬の時期です。

 一方で、両親から差し伸べられた手を素直に握ることは恥ずかしく、反抗するのが高学年の子どもたち。「もうやったの?」「はやくしなさい!」では逆効果です。この時期に子どもたちに寄り添いアドバイスをする役割は、習い事や塾の先生などの「外の師匠」に譲りましょう。



【おすすめ書籍】

🌼『60点でも伸びる子、90点なのに伸び悩む子

相澤 樹(あいざわ たつき)

相澤 樹(あいざわ たつき)

1978年千葉県生まれ。 未就学児の体育指導員や、お泊まり保育の現地受け入れスタッフを8年間務めた後、高濱に誘われ2006年花まる学習会に入社。 これまで3歳児から小学校6年生まで、のべ3000人以上の子どもたちを指導。 子どもの行動の背景を見抜いた的確な観察眼と保護者へのサポートに定評がある。 人材育成・社員採用の責任者、神奈川ブロックのブロック長を経て、2016年度に関西ブロック長として大阪に赴任。現在に至る。 講演「あと伸びする子の家庭の習慣」や「健やかに子どもが育つ住まいとは」は全国各地で大好評を博しており、2016年3月には『60点でも伸びる子90点でも伸び悩む子』(あさ出版)を上梓するに至る。

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