【松島コラム】『挨拶ができる子に』 2017年6月

 先日引退会見をした浅田真央さんについて、その立ち居振る舞いのすばらしさが多くのメディアで絶賛されました。記者からの奇妙な質問にも、笑顔で丁寧に受け答えしようとする心遣い。決して言い訳をしない、人のせいにしない強さと優しさ。感謝の気持ちが伝わる美しいお辞儀。多くの一流アスリートのなかでも、浅田真央さんが特に国民に愛される理由がわかる会見でした。
 一つひとつの所作にその人の人間性が表れます。心のこもった挨拶ができる人は、思いやりのある人です。社会に出ると、挨拶のしかた一つで印象や評価が変わることもあります。子どものうちからしっかりと挨拶の習慣をつけておきたいものです。


 私は昨年一年間、授業開始の30分前から校舎の外で生徒の出迎えをしました。「こんにちは」とできるだけしっかりと顔を見て声をかけました。挨拶ができない子に対して「挨拶をしなさい」とは強制しませんでした。自分からできるようにならないと意味がないと思っていたからです。挨拶をする間を自分でつかむことが大切なのです。最初のうちは、無表情で通り過ぎる子もいます。しかし、何か月か経つうちにそういう子のなかから少しずつ挨拶ができる子が現れてきます。なかには自分からしてくれる子も出てきます。それだけのことでもうれしくなります。挨拶は言葉のキャッチボールといいます。投げてくれたらしっかりと「こんにちは」と返してあげることが重要ですから、気持ちを込めて「こんにちは」と返します。
 しかし、そうした声かけを続けても、「こんにちは」と言われてもすぐに言葉が出てこない子もいます。そして少し間が空いてしまうことで返すきっかけを失い、無言の状態になってしまうのです。もちろん自信のなさや恥ずかしさもあるでしょう。ところが、1対1の挨拶ができない子でも、学校や塾で、集団で挨拶するときはできるのです。みんなと一緒に「せぇーの」でやるからです。つまり、挨拶が苦手な子はしたくないのではなく、呼吸がつかめずに言葉が出てこないだけなのです。練習を積み重ねればそうした間の取り方もわかるようになります。スクールFCでは、毎授業の挨拶も大切にしています。授業の始まりを前に、意識のスイッチを切り替える。講師も含めてクラスが一つとなり、授業に集中しようという雰囲気を作り上げます。そういった挨拶経験を積み重ねることで、子どもの心も育てたいと考えています。


 当たり前のこととして、挨拶を習慣としているご家庭も多いと思いますが、たまにおざなりになっているようであれば、もう一度家族のなかで挨拶の大切さについて話しあう機会を設けていただきたいと思います。家では、「おはようございます。いただきます。ごちそうさまでした。行ってきます。ただいま。お休みなさい」。塾では、「こんにちは。お願いします。ありがとうございました。さようなら」。学校でも決められた言葉があるでしょう。一日のなかでこれだけ挨拶をする機会があるのですから、これらをしっかりとできるようになると、友達や先生、家族との関係ももっとよくなっていきます。お互いの心が開き、人をいたわる気持ちや許し合う心も生まれてきます。そして、そういう思いもって行動できるようになると、必要のないトラブルや争い事も減っていくのではないかと思います。
 さらに前述のように挨拶は言葉のキャッチボールでもあるので、これができるようになると会話のテンポもよくなり、それがひいては国語力を上げることにもつながります。
 まずは私たち大人が、家でも職場でも心をこもった気持ちのいい挨拶をすることが大切です。
 FCでは、「挨拶をする」というほかにも、「まわりのごみを拾う」「消しゴムのカスは自分で捨てる」といった規範部分の指導を大切にしています。勉強だけできるのではなく、相手を思いやれる子になってほしいという思いから、今後もそうしたことにしっかりと取り組んでまいります。


スクールFC代表 松島伸浩
 
 
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松島 伸浩(まつしま のぶひろ)

松島 伸浩(まつしま のぶひろ)

1963年生まれ、群馬県みどり市出身。現在、スクールFC代表兼花まるグループ常務取締役。教員一家に育つも、私教育の世界に飛び込み、大手進学塾で経営幹部として活躍。36歳で自塾を立ち上げ、個人、組織の両面から、「社会に出てから必要とされる『生きる力』を受験学習を通して鍛える方法はないか」を模索する。その後、花まる学習会創立時からの旧知であった高濱正伸と再会し、花まるグループに入社。教務部長、事業部長を経て現職。のべ10,000件以上の受験相談や教育相談の実績は、保護者からの絶大な支持を得ている。現在も花まる学習会やスクールFCの現場で活躍中である。

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